今は、考えるのをやめよう
そんなこと考えたってどうにもならない
彼女を気にしたって何にもならない
私は深呼吸し、父上に顔を向ける
学園に来た本来の目的を忘れるな
私は父上に、これを伝えに
願いに来たのだろう
私が父上を呼んだ時
全員の視線がこちらに向かったのがわかった
あまりの即答ぶり
ピキリと頬に血管が浮かんだ
本当かと疑いたい気持ちがある
だが…忍者だし、先生だし
本当に忙しいのだろうな
あなたside
山田利吉の言った一言
『 実家に帰ってきてはくれないか 』
山田先生と山田利吉は茶を飲むことを止め
言い争いが始まる
私は横にいた食満くんに助けを求めるよう声をかけた
土井先生が戸を静かに開く
食べかけ、飲みかけのお菓子とお茶を持ち出し
職員室を出てすぐの縁側に座る
今まで思っていた疑問が口に出た
三人共苦笑いを浮かべるから、
私だけがぽかんととぼけ顔で
親子仲が悪くないならよかった
山田先生は山田利吉を大切に思っているみたいだし
すれ違いというのは見てられない
言われてみればだが、
山田利吉も「 帰れ 」という粗暴な口ではなかったし
理由も『 母が寂しがっている 』という理由だ
息子として、
両親の夫婦仲を大切にしてほしいのだろう
くノ一ということは、シナ先生と同じ女性忍者
忍者のことも相当知っている訳じゃないけど
シナ先生しかくノ一には出会ったことがないし
食満くんが笑って賛同してくれる
私も笑い返し
見えないところで土井先生と善法寺くんも笑う
山田先生と山田利吉が喧嘩をしている最中
対比されるよう、私たちは穏やかなお茶を続けていた













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!