第56話

他に何が
6,606
2021/03/20 11:48







今回の大男部隊掃討作戦が終わりその2日後
狙い通りアヴィリオ内部で反乱が起こった












本作戦は大成功と言えよう













作戦が終わってからその事後処理や情報収集て忙しかったにも関わらず、

反乱が起きたのでその内情を探ったりしていたのでこの2日間ろくに寝れていない




















ここからアヴィリオの内部反乱をしばらく見守る時期に入る






今、反乱勢力と同盟を組んでアヴィリオを潰さないのは今後の為だ






反乱分子の中にアヴィリオの裏切り者が潜んでいてはたまらない。

お互いに本気で叩き合いをしてもらい、本当に反アヴィリオ精神を持っている者達を見極めて同盟を組むのだ






















仮眠を取れと言われたが、全く寝る気になれない
2日間ほぼ寝てないのになんでだろう



































僕が向かったのは昔使われていた射撃場




今は闘技場に射撃場が新設されたので全く使われていないが、僕はたまにここに来る























的と自分が立ってる所だけが光る薄暗い部屋




防音室の為外の声も聞こえない



薬莢の微かな匂い










僕はここの雰囲気が好きだ

















ホルスターから拳銃を取り出し玉を1発込めて撃つ











真ん中に命中
















僕は実は射撃が大の得意だ







弾を込める









次は5発続けて






























………







2発目以外全部真ん中






























拳銃のずっしりと冷たく響く重さが落ち着く




これを持つと自然と震えも止まり、冷静になれる







大男の時だって首に当てたのに…






























大男……………





今回の作戦の戦闘人数は105人


対して相手は大男部隊67人とその場に居合わせた別部隊50人














敵の80%以上を掃討したが

こちら側死者は31人














そのうち6人は僕直属の部下だった






















なんもできなかった……………

(なまえ)
あなた
クソっ…………
僕は持っていた6つの拳銃の全てに弾を込めると立て続けに全部撃つ

















苛立ちと悔しさに任せて





























ほとんど命中





























(なまえ)
あなた
はぁ……………
50発近くあった弾も、1分後には全て消えていた














銃の反動で手の皮がめくれて血が流れる












締められた首の痣が鈍く痛む




































今日は死んだ部下たちの葬式があった





彼らに家族はなく、死後の旅路を送るのも僕らだけだ


















棺桶の中の彼らの顔がフラッシュバックする








彼らはどう思ってるのかな、
悔いか、憎しみか

それとも解放されたのか…

























固いソファに腰掛けた瞬間、



どっと眠気が襲ってきた














































あー、これ暫く起きれないやつだ…








ルーカス、無事だとは聞いたけど会えてないな…






そう思いながら気を失うように寝た





























そこから6時間くらい経った頃





射撃場の扉が開く
ルーカス
ルーカス
いた…!









あなたが仮眠から帰ってこないと聞いて1人で探していたのだ









ソファに倒れるように寝ているあなたの傍を見る







散らばった薬莢に

穴だらけの的

そして血だらけの手













これはあなたが何か嫌なことがあった時にする行動だと彼は知っていた




そして熟睡したあなたは中々起きないということも。



















弾数の多さは彼の叫びと比例する











ルーカス
ルーカス
…………可哀想に、こんなに抱え込んで








ルーカスはあなたの頭を優しく撫でると






手にまとわりついた血を拭い、包帯を巻く





















ベッドに運んであげたいけど、起こしたくない











どうしようかとソファに顔をついて寝顔を眺めていると


















ほろっと一筋、あなたの目から涙が零れた














ルーカス
ルーカス
え…







それをきっかけに涙がぼろぼろと流れ落ちる











表情は変わらずに、依然寝ているが涙だけが溢れ出ている
















ルーカスはいたたまれなくなり、そっとあなたを抱きしめる









怖い夢を見てるんだろうか、

寝ている間も何かに追い詰められているこの美しい片目の青年を思うと胸が張り裂けそうだ
















































抱きしめられた温もりを感じたのか、
表情が少し柔らかくなり、涙が止まった




























すやすやと寝息を立てるあなたをみつめる

































ルーカス
ルーカス
あなた
























ルーカスはあなたの唇にキスをした
















嫌がられるかも、と思いながらも

どうしても抑えられなかった















長いまつ毛が涙の粒を抱えていて美しかった













































あなたはむくりと起き上がった













時計は朝6時を指す













……仮眠のつもりだったのに、また寝すぎちゃった














ふと、自分の寝ていた場所を見る。









ただのソファで寝たはずなのに、毛布がかけられている







頭の下には枕が




















手には綺麗に包帯が巻いてある
















一体誰が…?



















(なまえ)
あなた
うわっ…
鏡を見ると、顔には涙の跡が








…また泣いていたのか





(なまえ)
あなた
枕持ってきてくれた人に見られたかなぁ…










泣いてはいたが、昨日はなんだかよく寝れた。

なんでだろう














色々な疑問があるが、頭はスッキリしていた










僕はその疑問たちを胸にしまうと、寝癖を治してまた仕事場に向かった

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