無人の部屋に一応そう言って家を出る。
…一人暮らしやし、再度言うように誰もおらんから鍵も閉めて。と、
マンションを出ると、春風が心地よく当たる。
俺はいふ。今春、高校2年生。
いれいすっていう歌い手グループ(歌い手は歌手の一歩手前みたいな人)のメンバー。
今日はそのいれいすのライブの練習。
時計を見ると、集合時間までまだ時間があった。
なので俺は少し遠回りになるけど川の方の道へ行く
今の時期、桜がきれいやから。
桜を眺めながら歩いていると、
ないこに声を掛けられた。
ないこはいれいすのリーダーで、俺と同い年。
ないこの家は、この川の近く。
だから風でベランダとかに花びらが飛んで来るんだろう。
ないこがそう答えた所で、あにきに声を掛けられた。
あにきこと悠佑。
いれいす最年長(設定)で、俺と同い年。
ちなみに最年長は設定。
正確には俺が12月、あにきが1月で早生まれやから俺の方が上なんやけど、
兄貴のほうがそういうのは向いているからそうなっとる。
あにきはそう言って手に持っていたビニール袋を持ち上げる。
…その辺に落ちているゴミを拾っているよう。
今は花見の時期やし、多いんやろうな…
当たり前のように言うあにきは…やっぱり凄いと思う。
あにきに言われて川の反対側を見ると、子供組の三人が揃っていた。
あ、子供組っていうのは、いれいすの俺らを除いた残りの3人のメンバーのこと。
ちなみに俺らは3人で大人組。
ほとけが俺らに気づいたようで、そう声を掛けつつ、
俺らに手をブンブン振る。
ほとけ、正式名称・-hotoke-。
俺の1個下、高1でいれいすのメンバー。
本人はイムくんって呼んでほしいと言っているが、
メンバーの中で普段からそう呼んでいるのは1人しかいない。
続けて聞こえたのはりうらの声。
りうらはいれいす最年少(これも設定)で、ほとけと同い年。
好きなものはひよことポテト…らしい。
高校生にもなって、野菜嫌い。
そう言いながらほとけに圧をかけているのが、初兎。
りうら、ほとけと同い年で、正確には最年少。
りうらとほとけが11月生まれで、初兎が1月生まれやから。
それから、子供組と合流して、
いつもの場所でライブの練習を始めた。
夕方、帰り道。
いつもの練習場から出て、少しした所でほとけがそう言う。
俺らが全員暇やったので、
ないこが集合時間と集合場所を決めてくれた。
あにきが交差点の所でそう言って、俺らと別れる。
ほとけとしょにだは駅の方に向かって行く
そう言って俺らは別れる。
…少し歩いた所で、信号が変わるのを待っていると、
赤信号なのに止まりそうな気配のない車が走って来とるのが見えた。
よくよく見ると、運転手が気絶していた。
車を止めることはできないから、
せめて誰かが横断歩道を渡ったりしないようにしないとな…。
そう思っていると、俺の横から小学生くらいの女の子が横断歩道を渡りだした。
青信号だから、よく周りを見ていなかったんだろう。
急な事やったから、俺も反応ができなかった。
そう思ったと同時に、俺の体は動いていた。
交差点に入って、その女の子を押して…
少し強く押したから転んでしまうかもしれないが、
車にひかれるよりかましだろう。
意味がないかもしれないが、少し足に力を入れて、衝撃に備える。
そんな、今は全く関係ないことを考えた所で、
俺の意識は、途絶えた。
大人組+Hisui「おついれ!」



















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。