私の脳内には「二」と「途」という漢字が思い浮かんだが、直接的な表現は控えた。
彩乃ちゃんは口元に人差し指を置いて、しーっとした。
そう言えば、二途もこの集会に参加しているんだった。
昨日は二途が好きそうな心愛センパイがいたから参加したのも頷けるが、 今日に関しては分からない。
そもそも、二途はガチ目なシスコンである。
この学校、シスコンが結構多いのだがその中でも随一のシスコンだ。
妹に彼氏ができるのを本気で嫌っている。
本人は笑顔で「彼女が欲しかったってのもあるけど、妹に彼氏ができたらそいつを抹消できるように入学したよ」と言っていたのを覚えている。
周りには順風満帆に恋愛ライフを楽しんでいた。
羨ましいったらありゃしない!!
どうしてこんな少ない言葉で可愛さを出せるのだろう。
そのすべ、私にもくれ。
維人の声が聞こえた。
普段の何倍も焦ってそうで、大きな声だった。
歌がちょうど流れていないタイミングだったこともあってか、より一層大きく聞こえた。
私も周りも、そんな大声を出す維人を初めて見たのか自然と視線は維人に集中した。
あの維人がセトちゃんに優しい言葉をかけている。
ただ事じゃなかったのだろう。
維人はみんなが注目していた中、普通に歌を歌った。
結構ガチ目にうますぎてびっくりした。
モデルをやっているお姉ちゃんや有名アーティストの義兄に匹敵するレベルなんじゃないか、これ。
点数は90代で流石としか言いようがなかった。
維人が歌い終わったあたりから、再度会話は増えていった。
維人とセトちゃんの間に何があったが気になりはしたが、詮索しないのが吉だろう。
維人が歌を歌っている間、携帯を見ているセトちゃんが笑みを浮かべていたのは気のせいだったのか確認する術もない。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!