第2話

1話
264
2026/05/23 01:40 更新

今日は久しぶりの外出許可が降りて、甘いもの巡りを満喫していた。



(なまえ)
あなた
(そろそろ、帰らなきゃか……)


電車に揺られ、車窓から日が暮れてきている空を見上げた。


そしてスマホに視線を戻す。










車内アナウンス
『次は……きさらぎ駅……きさらぎ駅……』
(なまえ)
あなた
…………


気が付けば、焼けただれた鉄のように赤黒く色褪せた世界にいた。



(なまえ)
あなた
(今日は、任務とか忘れて、楽しく過ごすって決めてたのに……なんでこうなるかな?)


その場に着信音が鳴り響く。

画面には『非通知』の文字。


あなたは( ⩌⌯⩌)ムッと顔をしながら、躊躇いなく電話に出る。



(なまえ)
あなた
もしもーし
???
『…………』
???
『もうすぐ会えるよ』
???
『今、何y両目にい粒ニケ`る?』
(なまえ)
あなた
(聞き取りずらいな)
???
『3両目に跚?もいなかっTルた』
???
『今4オ・』
???
『dユ 5』
(なまえ)
あなた
(近付いてきてる?
私がいるのは……7だ……)



すると、ギィッと音を立てて車両のドアが開かれる。


(なまえ)
あなた
(誰もいない……)



『だぁ〜れだ?』





肩を掴まれ、後ろを振り返れば人型の花に覆われた「怪異」がそこにいた。


頭を覆う花の中からは大きな瞳が開かれる。



(なまえ)
あなた
……っ!


あなたは少し後ろに下がり、「怪具ホルダー」へと手を伸ばそうとした、その時……。



???
ぎゃはは!
美味そうだなぁ、お前!
(なまえ)
あなた
…………!

振り向けば赤髪の銃を持った男がいた。

(なまえ)
あなた
(大我じゃん)

大我はそのまま、車窓を割り、ガラスの破片を素手で拾い上げる。


星喰大我
《マラーブ》
星喰大我
……いい子だから、そこ動くなよ


そう言ってガラスの破片を銃に詰めた。

星喰大我
お前も本当は、俺にやられてぇんだろ?


大我は「怪異」に向かって銃を撃つ。

ガラスの破片が後ろのあなたへ飛んでいき、足と頬を切ってしまう。


星喰大我
弾切れた〜。
面倒くせぇ……。
……ん?



そこでようやく、大我があなたの存在に気づいた。

つかつかと彼女の目の前まで歩み寄る。


星喰大我
あなたじゃん。
お前、何でここにいるんだ?
(なまえ)
あなた
あー、巻き込まれた的な……?
星喰大我
ふ〜ん、相変わらずだなぁ。
血、出てんぞ
(なまえ)
あなた
大我は頭から血、すっごい垂れ流してるけど


大我はあなたの頬に手を添え、傷口に唇を近付け、血を舐め取ろうとする。


???
おいおいおい……大我さん、うちのお姫様に何しようとしてんの
星喰大我
あ〜?
(なまえ)
あなた
伯玖……
星喰大我
……テメェ、邪魔すんじゃねぇぞ
草薙伯玖
大我さんには悪いが、この子だけは譲れんね
星喰大我
…………
草薙伯玖
…………
(なまえ)
あなた
いや、何そこで戦い始まりそうな雰囲気出してんの?
それより、さっきの「怪異」追わなくていいの?
星喰大我
あー、忘れてた。
じゃ、俺はアイツ追うわ
(なまえ)
あなた
大我、あんま無茶しないでよ
草薙伯玖
それをおまえさんが言うか


大我は、隣の窓ガラスを殴りつける。

(なまえ)
あなた
って言ったそばからさぁ……


粉々になった破片を素手で拾い上げ、彼は窓枠を飛び越えると、そのまま濃霧の中へと消えてしまった。





草薙伯玖
……さて、ひとまずここを出ますか


伯玖は、大きく伸びをすると、今度は姿勢を正し、両膝を床に落とした。


横笛を手に取り、ひとつ、ふたつと音符を吹き響かせる。


(なまえ)
あなた
(いつ聞いても綺麗な音色……)

















元の世界へ戻ってくると、夜だったはずの空は明るくなっていた。


草薙伯玖
顔に傷作っちゃって……女の子なんだから気をつけなさいよ
(なまえ)
あなた
はーい
草薙伯玖
本当にわかってんのかね……。
足も怪我してるし……歩けるか?
(なまえ)
あなた
大丈夫


全然平気そうな顔をして、ちょうど開いた電車のドアから出ていくあなたを見て、伯玖は眉を寄せた。












伯玖が学園に電話している間、あなたはスマホを取り出し、CATSMOを開いてアイスの自販機にタッチする。


『にゃあ』と鳴き声と共に、自販機がドアのように開き、その先には宇宙のような空間が広がっていた。


(なまえ)
あなた
はぁ……もう外出許可降りないかもなぁ
草薙伯玖
そう落ち込みなさんな。
甘いもんなら、あの子美琴に頼んで取り寄せてもらえばいいだろう?


電話を終えた伯玖は苦笑しながら、あなたの頭をポンポンと撫でる。


(なまえ)
あなた
そうだけど……現地に行ってこそ意味があるんですぅ( ㅎнㅎ*)ムッスゥ
草薙伯玖
そんなにむくれて、可愛い顔が台無しだぞ


そう言って、膨らんでいた頬を片手で掴まれ、むにむにと揉まれる。




草薙伯玖
とりあえず、その怪我早く治さなきゃな。
お姫様、しっかり掴まっててな
(なまえ)
あなた


伯玖は、あなたをお姫様抱っこして、そのまま自販機の中に広がる宇宙空間に身を投げ出した。



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