今日は久しぶりの外出許可が降りて、甘いもの巡りを満喫していた。
電車に揺られ、車窓から日が暮れてきている空を見上げた。
そしてスマホに視線を戻す。
気が付けば、焼けただれた鉄のように赤黒く色褪せた世界にいた。
その場に着信音が鳴り響く。
画面には『非通知』の文字。
あなたは( ⩌⌯⩌)ムッと顔をしながら、躊躇いなく電話に出る。
すると、ギィッと音を立てて車両のドアが開かれる。
『だぁ〜れだ?』
肩を掴まれ、後ろを振り返れば人型の花に覆われた「怪異」がそこにいた。
頭を覆う花の中からは大きな瞳が開かれる。
あなたは少し後ろに下がり、「怪具ホルダー」へと手を伸ばそうとした、その時……。
振り向けば赤髪の銃を持った男がいた。
大我はそのまま、車窓を割り、ガラスの破片を素手で拾い上げる。
そう言ってガラスの破片を銃に詰めた。
大我は「怪異」に向かって銃を撃つ。
ガラスの破片が後ろのあなたへ飛んでいき、足と頬を切ってしまう。
そこでようやく、大我があなたの存在に気づいた。
つかつかと彼女の目の前まで歩み寄る。
大我はあなたの頬に手を添え、傷口に唇を近付け、血を舐め取ろうとする。
大我は、隣の窓ガラスを殴りつける。
粉々になった破片を素手で拾い上げ、彼は窓枠を飛び越えると、そのまま濃霧の中へと消えてしまった。
伯玖は、大きく伸びをすると、今度は姿勢を正し、両膝を床に落とした。
横笛を手に取り、ひとつ、ふたつと音符を吹き響かせる。
元の世界へ戻ってくると、夜だったはずの空は明るくなっていた。
全然平気そうな顔をして、ちょうど開いた電車のドアから出ていくあなたを見て、伯玖は眉を寄せた。
伯玖が学園に電話している間、あなたはスマホを取り出し、CATSMOを開いてアイスの自販機にタッチする。
『にゃあ』と鳴き声と共に、自販機がドアのように開き、その先には宇宙のような空間が広がっていた。
電話を終えた伯玖は苦笑しながら、あなたの頭をポンポンと撫でる。
そう言って、膨らんでいた頬を片手で掴まれ、むにむにと揉まれる。
伯玖は、あなたをお姫様抱っこして、そのまま自販機の中に広がる宇宙空間に身を投げ出した。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。