この時代での違法な" 薬 "は裏社会での品種改良が進められ、人体に危害を及ぼす他…
筋肉増強、無痛剤、快楽剤…等の効果があり、元々あったのもよりさらに強力になった。
また、強力になった分副反応も強く、最悪の場合一度の接種でも死に至る。
ー 1階
目の前を走る犯人をひたすらに走って追いかけるが、一向に追いつかない。
距離はそう遠くないのに、手が届かないのだ。
2人は笑いながら男を追いかけ続ける。
走り続ける内、ショッピングモール一階にある一番広く開けた場所へと辿り着く。
男はそこで急ブレーキをかけるように、勢い良く2人の方へ振り返り、いつの間にか手にしていた拳銃を発泡した。
勢いに任せて2人は別方向へ飛び出し、なんとか回避する。
男は翔に銃口を向け、そのまま2発、3発と発泡する。
だが、弾は翔を掠めることすらせず、壁に食い込む。
すると男は、服に着いたポケットから2本の試験管のような瓶を取り出す。
KAITOが走り出すが、すでに男の手にある物に手が届くわけもなく、男は2本のコルク栓の付いた瓶の口を割り、そのまま一気に飲み干した。
男は2本の割れた瓶を投げ捨て、片手で頭を押さえたまま、また銃を構えた。
小さく苦しそうな唸り声を上げた後、男が発泡した一発は、確実にKAITOを狙った一発だった。
そして、その弾はKAITOの左腕を貫いた。
翔が男の捨てた瓶を見ると、表面に四角く白いシールが貼ってあり、そこにはそれぞれ『視』『筋』と印刷されていた。
KAITOは翔の右側まで来ると、そのまま膝をついて座り込んだ。
翔は、銃を落として再度頭を押さえて身体を震わせる男を警戒しながら、KAITOに視線を送る。
KAITOの制服の袖口から、ビチャビチャと血が流れ落ちる。
だが、KAITOは翔を見ることもなく、傷を庇うこともなく、また立ち上がり銃を構えた。
翔がKAITOに送った一瞬の視線を男に戻した瞬間だった…
男の拳は、翔の顔の目の前にあった。
バコォォォッッッ…!!
翔の左耳を掠めるように、男の拳が床のタイルにめり込んだ。
気づけば翔は、床に尻もちをついていた。
床に着いた右腕は、KAITOの震える左手がガッシリと掴んでいた。
翔の足はガクガクと震え、その場から動けなくなる。
今まで何度も戦ってきた拳とはわけも違ければ、ナイフなんかよりもよっぽど恐ろしく感じた。
KAITOはただ怒るわけでもなく、不満そうにするわけでもなく、いつものからかうようなトーンで言った。
そして、そのままKAITOは男の正面めがけて突っ込んで行く。
男は思い切り拳を振り上げ、KAITO目掛けて落とすが、床のタイルへとぶつかる。
翔は、力の入らない足を引きずりながら、少しずつ男に距離を詰める。
右手には、まだ腰に収納されたままの銃が握られていた。
ー こちら翔、発砲許可をください……
無線から流れたその声に、走っていたなろ屋は足を止める。
ー ザッ…もし…、どうしても容疑者を殺さなければ
ならない時…、その場合のみ許可します…。
無線からなろ屋の低い声が流れる。
ボタンを押し、一言落とすと、翔は銃を取り出した。
もちろん、現場で使うのはこの場にいる誰もが未経験だった。
一歩間違えれば、男の注意を引きつけるKAITOを傷つけかねない…。
翔の銃を握る手が小刻みに震える。
銃はカチャカチャと音を立て、狙いの定まらないまま銃口が彷徨う。
その時、、
突然、2人が翔を庇うように前に現れた。
翔は悔しそうに俯く。
6人の中で、実際の事件で銃を発砲したことがあるものは誰もいなかった。
警察学校で行った訓練の時以来である。
翔はkamomeが背中を向けながらも、こちらを振り向きながら差し出す右手に手をかけた。
翔がやっとの思いで立ち上がった時、KAITOの怒声が聞こえる。
全員がそちらを振り向いた時、視線の先には唖然として固まる、見慣れた少年2人の姿があった。
2人は固まったまま動かない。
メロが口をパクパクとさせて、焦りを見せているのが分かる程度だ。
KAITOが男に背を向けた瞬間、再度銃を拾い上げ、少年達に標準を合わせる。
3人が一斉に走り出した。
翔は瞬時に銃を構える。
パァンッッッ…!!
一発目に発砲されたのは、翔の銃だった。
だが、全員の予想に反して、男の右肩に当たった弾は、貫通することも無く、膨張した筋肉にめり込んだだけだった。
銃を構える男の手はブレることもなく、正確に焦点を合わせ引き金を引く。
パァンッッッ…!!
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。