第20話

~ 20話 ~
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2025/11/07 08:00 更新
























その日



空はどこまでも青く高くて



まるで新しい恋のはじまりを

祝福してくれているようだった

 



昨日、ふたりは恋人になった



でも、変わったようで変わらないふたりの関係に、

少しだけくすぐったさが混じる

 



下校の時間




俺は ゆあんくん と並んで歩いていた

 

でも、ゆあんくん はどこかぎこちない

 

いつもと同じ帰り道なのに、足取りも視線も

落ち着かなくて、俺の隣でどことなくそわそわしていた

j.p.
かわいい ……


それに気づいた俺は、そっと ゆあんくん の手を取った

y.a.
…… ッ?! /


突然の温もりに、

ゆあんくん の目がぱちっと大きく開く



けれど、逃げることはなく繋がれた手を見つめながら、

少し赤くなって笑った

y.a.
ッ なんか、入学したての頃思い出す( 
j.p.
俺も(  ゆあんくん 、
あの頃より全然柔らかい顔になったね
y.a.
ッ …… 先輩 のせいでね
j.p.
え、悪いことしたみたいじゃんそれ 


笑い合いながら 、繋いだ手の温度が

ゆっくりふたりの心をあたためていく

 

そんな帰り道の途中、俺は思い出したかのように

ふと立ち止まった

j.p.
ねぇ、ちょっと寄り道していい?
y.a.
うん、?いいけど …


俺が向かったのは、大きなショッピングモールだった



人通りの多い中を抜け、

案内したのはジュエリーショップ

y.a.
ここで …… なにするの?
j.p.
決まってんじゃん( 


俺はウィンドウの中を指差した

j.p.
ゆあんくん と
おそろいのもの、買いたいんだ ~


ゆあんくん の顔がぱっと赤くなった

y.a.
ッ …!/ /
ぇ、え、な、なにお揃いに ……?
j.p.
ん ~ なんでもいいって言ってくれたら
決めやすいんだけどなぁ(
y.a.
ッ … じゃあ …… せ、先輩 となら なんでも……


ぼそりと呟いたその声が愛しすぎて、

俺は耐えきれず笑いながら頭をわしゃっと撫でた

j.p.
かわいすぎ( 笑 撫


そして俺は一人でお店の中へ



俺が選んだのは、緑と赤のラインがそれぞれ入った

細身のペアリング

 



緑は俺のいろ



赤は ゆあんくん のいろ

 



それぞれの色が、ふたりを象徴するような ……

迷わずこれに決めた



 

会計を終え、店の外で待っていた

ゆあんくん のもとへ戻る

j.p.
行こっか?( 


そう言い、俺らはショッピングモールを出て、

近くの公園へ向かった

 

ベンチに腰掛け、蝉の声が遠くで鳴く中、

俺はさっきの小さな箱を取り出した

j.p.
目、閉じて?
y.a.
え … 、?
j.p.
ほら、早く ~


おそるおそる目を閉じる ゆあんくん の薬指に、

緑のラインが入ったリングをはめた

y.a.
…… ッ ッ!!( 


目を開けた瞬間、

ゆあんくん は驚いたようにリングを見つめた

y.a.
…… これ … ッ!
j.p.
おそろい、俺のは赤だけど( 


俺も自分の指にリングをはめて見せる

j.p.
… でも、ただのお揃いじゃないよ
これは …… 、


俺は、真っ直ぐ ゆあんくん の瞳を見つめた

j.p.
不安なとき、俺のこと信じられなくなったときも … これ見て思い出してほしい
j.p.
… 俺がどれだけ、
ゆあんくん を守りたいか … 好きかなのか


ゆあんくん はリングを見つめながら、

ゆっくりとそれを自分の胸元に当てた

y.a.
ッ … ありがとう、
俺、これ一生大事にする!


俺は ゆあんくん のその言葉に「 知ってる 」と答えた

























そのあとも他愛ない話をして、また手を繋いで ……

俺はいつものように ゆあんくん を家まで送った

 

玄関前、ゆあんくん が振り返って言った

y.a.
また明日、迎えに来て …… くれる、ッ?
j.p.
もちろん、朝も昼も放課後も
ちゃんと全部迎えに行くよ(


ゆあんくん は嬉しそうに微笑み、

y.a.
… ッ 約束、!


と、小指を差し出した



俺も ゆあんくん の小指に絡め、誓う

j.p.
おう、絶対な!




ゆあんくん が家に入り、ドアが閉まったあと



俺は少しだけ玄関前に立ち尽くして、空を見上げた

 



ゆあんくん とは、入学式の日に初めて出会った

 

クラス分けが掲示された廊下で、ぶつかりそうに

なりながら歩いていた小さくて、少し不安げな背中

j.p.
あの日 …… 俺、もう惚れてたんだな( 


この独り言は、誰にも届かない

 

けれど、その胸に広がるのは確かな想いだった

 

たったひとりの男の子に、恋をして

今、その人の隣にいる

 

リングが指にやさしく光った






















j.p.
大好きだよ、ゆあんくん


心の中でそうつぶやいたその瞬間 ……

彼の世界は、 確かに変わっていた























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