無機質な白い部屋に、
透明すぎてどうしようもない窓
しかしそこに映るのは、またしても機械的な、
コンクリートに囲まれた実験室だ
厚く重い扉は、カードキーを翳せば
すぐに微笑み道を開ける
扉の外には、青々とした人工芝が育っていた
空中30cm程を浮遊する男は
カードキーを弄りながら、
場に似合わぬ原始的な赤いポストを開ける
そうして、また重い扉を開け、
無機質な部屋へと戻っていった
すると赤髪の男は愉快なように、フィクリウスの頬を掴む
真顔なフィクリウスに、反応を求めているようだ
そして少し遅れ、フィクリウスは項にあるはずの
ソフト カセットが見えないことに気づく
しかしよく目を配ると、
フィクリウスの首には肌色のバンドが首に巻かれていた
すると南は、するりと慣れたようにバンドを取り、
グレーのソフトカセットを外気に晒す
雰囲気に酔ったような素ぶりは無視し、
南はため息を吐いた
話をすり替えようとするも、
南もある程度の情報は持っている様子
フィクリウスはつまらなそうに、
あるいは皮肉げに笑った
二人の間に緊張した、
空気が張り詰める
膠着状態のふたりは、
顔を合わせ無言で見つめ合っている
するとそこに、買い出しを終えた花巻が、姿を現した
先程まで向かい合っていたふたりも、
すぐさま花巻へ注目する
花巻の手には一通の白い手紙と、
薄っぺらいガラスのついた板が握られていた
そういい、南は部屋の奥の方へ指をさす
フィクリウスを花巻がきっと睨みつけた
文句がある様な花巻だが、
南に目線を配り、動向を窺っている
するとフィクリウスは信じられないものを見たかのような顔をして、
花巻に目を向けた
フィクリウスの目が、
怪訝そうに細まる
打って変わってそこは帝都学園
通常ならチョークと、管楽器の音しか聞こえないはずの学園に、
大声が響き渡る
そしてやってしまったという様に、
夜蘭は急いでその口を急いで塞いだ
そう言って、ふたりはそそくさと、机の上を片付け始めた
天文台の下にある、いつもの場所
本棚が囲むそこには、
前と違うものがある
見慣れぬ白いベッドと、
少しばかりの薬
外れない重々しい鎖が、
ヒースクリフの体に揺れた
この場所に合わない手錠は、
ヒースクリフ体を掻きむしるのを抑えている
ドーパミンの大声に、
ヒースクリフの瞳孔が怯えたように強く震えた
ドーパミンは震えるヒースクリフの肩を支え、
優しく背中をさする
ヒースクリフは、体を引き裂くような腹痛に身を捩る
唇を噛んで、血が出かけている
しかし、そうしながらも、
確実に何かを話しだそうとしていた
ドーパミンの目元に、軽く影が落ちる
涙の滲むヒースクリフを見つめ、
ドーパミンは手に力を込めた
ヒースクリフの赤い目は、
ドーパミンを真っ直ぐに見つめている
息を呑み、震える体を押さえつけた
そうすると手紙が光を帯び、
穹へ浮かび上がる
いずれそれは鳥になり、
どこかの無機質な場所へと、飛んでいった































編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。