まるで夢を見ているようだった。
見渡す限りの青空。広がるグラウンドの奥の体育館で、真っ黒なユニフォームを着た少年たちが汗を流している。
響く声、ボールの音、足音。どこかで見たことがある。これは「ハイキュー!!」の中に出てくる烏野高校だ。
体育館に上がると、目の前にボールが転がってきた。
顔を上げると、ユニフォーム姿の青年がこちらに駆けてきていた。
色素の薄い髪、鋭くもどこか優しげな瞳。
不破湊。
にじさんじのライバーで、さっきまで一緒にコラボ配信をしていたはずの、あの不破湊がーー目の前にいた。
名前を呼ぶと、彼は一瞬だけ目を見開いたが、すぐにいつものような軽い笑みを浮かべる。
混乱するあなたの下の名前に、不破はさらっとボールを受け取りながら言う。
強引に手を引かれ、体育館の脇まで歩かされる。
部活中の部員たちは誰も不破を不思議がらない。まるで、最初からこの"烏野高校の生徒"として存在しているかのように。
ーー違和感がじわじわと広がっていく。
現実の不破湊が、ハイキュー!!の世界にいて、しかも部活してる?
これはただの夢じゃない。映像でもない。熱と汗と音、すべてがリアルすぎる。
言葉が現実味を持つのに、少し時間がかかった。
不破は腰を下ろし、タオルで首筋を拭きながら続ける。
不破はふっと、空を見上げる。
あなたの下の名前の喉がゴクリと鳴る。
不破の目が真っ直ぐこちらを見つめる。その目に、嘘はなかった。
不破湊はただのノリと勢いだけの男じゃなかった。
その瞳には、確かな覚悟と責任が宿っていた。
差し出された手を、あなたの下の名前は見つめーーそっと、握った。
そのとき、空の上で何かが光った。
不自然なノイズが空間を切り裂き、誰かの声がかすかに聞こえたような気がした。
………次の"世界"が、開くー











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。