(好きだって)
ヒョンがその言葉を呼んでから動かなくなった。
もしかしたらと思ってヒョンの顔を覗いてみたけど
全然、違ったみたい。
なんだか、目がキラキラしていた。
それを見て僕は、なんだ、やっぱり全部杞憂だった。
ヒョンはやっぱりヒョンなんだって、そう思えた。
ここまで手の内を曝け出してしまった今、
誤魔化すとかもうそんな話じゃなくて、
いっそのこと開き直るしかなかった。
だから、もう、
あるのは自信と気持ちだけでいいと思った。
自分に正直になろうと思った。
「何か言ってよ、ヒョン」
(え、っと、、)
「好き、とかさ?」
僕がそう言うとヒョンはやっと僕を見た。
僕の顔を見て表情をコロコロ変えながら意を結したような顔でこう言った。
(お前は俺に好きと言われて嬉しいの?)
そうきたか。
まぁ、ヒョンは初っ端から好きと言ってくれる予想はしていなかったけど、そうくるとは思っていなかった。
でも、僕はもう自分に正直にいるって決めたから。
迷わずこう答えた。
「うん、だってヒョンだもん」
「ヒョンは?嬉しくない?」
ヒョンも僕にこんな返答をされると予想していなかったのか、少しびっくりしているように見えた、し、
まだ疑っているようにも見えた。
「笑笑、ヒョンは本当にわかってないの?」
「それとも分からないフリをしているだけ?笑」
「それともただ、確かめたいだけ?」
「僕の口でヒョンが好き、と言うのを」
そう言うと笑って降参したように手を挙げるヒョン。
本当にわかっているのか、僕の方が確かめたくなって
天井を見上げているヒョンをいきなり抱きしめて、耳に手を当ててこう言った。
「ヒョン、好き、大好き」
ヒョンの顔を見た、ヒョンはさっきまでと変わらずやっぱり笑っていて、
でも、さっきまでの笑顔とは違って、
安心したようなそんな笑顔だった。
どこからともなく拍手が聞こえてきた。
[僕はお前の勇気に感動した!]
〈俺も、俺も!!〉
またうるさくなりそうだと感知したのか、
ヒョンはすぐに帰るといって出て行ってしまった。
そんなヒョンを、すぐに追いかけようとする僕を、
もうヒョンジナは止めなかった。
[ハナ、幸せにね]
[1人でずっと考えるヒョンだからさ、]
[これからは言葉で全部ちゃんと伝えてやって笑]
[じゃないと、僕の所に毎日のようにやってくる、、、だろうからさ!?やだよ~毎日は!]
「うん、笑ありがとうね、ヒョンの事」
[いいのいいの、僕はみんなが幸せなのがいいから]
「お前も幸せになってよね」
[はは、、僕はいいかな笑あ、ほら!早く行かないとヒョン帰っちゃうんじゃない!?]
〈おい、もう帰るのか!まだまだだろ!?〉
[ほら、早く、今のうち、!]
「あ、うん、じゃあ行くね!」
[また明日、おやすみ]
〈おやすみ〉
「うん、おやすみ」
チャンビニヒョンの犠牲になってくれたヒョンジナに最大の敬意を払って、ヒョンを追いかけた。
店を出ると、タクシーの扉を開けたままで待ってくれているヒョンを見つけてすぐに飛び乗った。
揺れるタクシーの中、僕とヒョンは何も話さなかった。
一瞬、僕を見たヒョンもただ、見つめるだけだった。
でも、握られた手がとても暖かくて、それが心地よくて、ヒョンの肩を借りて眠りについた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。