数週間ぶりに会ったらいは、何も変わっていなかった。
喫茶店の中に入り、VIP席へと向かった。
俺が少し動揺したのを見て、
瑠衣が不思議そうに俺を見つめてくる。
俺は、慌てて目を反らした。
メニューを取り、瑠衣に渡した。
瑠衣が店員を呼び、頼むものを頼んだ。
満面な笑顔でそう言ってきた。
瑠衣が、今人気な理由が少し分かった気がした。
こんな風な雑談をしながら来た食事を平らげていき
全て食べた後、会計をして外に出た。
そう言われるとは予想していなかったため、
瑠衣からの急なその言葉に驚いた。
信頼関係やタイミングを計らって自分から
伝えようとしていたことを、伝えようと
していた相手から言ってきたのだ。
断るはずもない。
たったの2日一緒に食事しただけだ。
普通なら断られるだろうな。
LINE、連絡先を交換した。
2日食事を一緒にしただけでLINEを交換するのは、
さすがに無防備で危機感が無さ過ぎる。
その上、俺以外のやつにこんな簡単にLINEを
交換していると思えばなぜだか腹が立つ。
アイドルだからなのか。
良くこんな言葉を躊躇せず笑顔で言えると思う。
無自覚か。
この感じだと、誰にも気づかれず
アイドルをやっていけるのか心配になってくる。
そう考えていると
ピロンッ
瑠衣のスマホから着信音が聞こえた。
最後にニコリと笑って帰っていった。
正直、言うかどうか迷っていたが、瑠衣がアイドルだと俺が知っているのを言えば警戒されたりもう関わるのは止めようとするだろうと判断した。
きっとそのときは、俺たちのこの関係は終わる。
どうか、その日が来ないことを
願いながら俺は自宅へと足を動かした。

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。