あなた side
最終選別を終えた翌朝。
私は、報告のために産屋敷邸へ向かっていた。
表向きは「最終選別で生き残った新隊士」。
階級は癸。
しかし、その実、お館様直轄の礎としての極秘任務を負っている。
その二つの顔を持つ少女の存在を、知る者は産屋敷耀哉ただ一人だった。
邸内で出会ったのは、偶然そこに居合わせた風柱・不死川実弥。
鋭い眼光が、癸の制服を着た私を上から下まで値踏みする。
私は一礼するでもなく、淡々と答える。
その冷ややかな口調に、風柱の眉がひくついた。
少し毒を含む、煽るような言葉。
だが声音は静かで、氷のように冷たく。
すると、風柱が舌打ちし、一歩近づいてきた。
風柱の気配が一瞬で鋭くなった。
だが私は眉一つ動かさず、その眼差しで真正面から睨み返した。
その瞬間、襖の奥から声が響いた。
柔らかく、それでいて揺るぎない声音。
お館様の声だった。
さすがの風柱も慌てて頭を下げる。
私も静かに頭を下げ、部屋の奥へ進んだ。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。