かちっ、かちっ、かちっ、っと音が響く。
目は覚めているけれど体が起きていない。
私は時計の針をじっと見ている。
びびびびっ、びびびびっ、びびっ、部屋にうるさいアラームがなる。
きっともう8時すぎなんだろう…。
私はこの重い体を起こして身支度をした。
顔を洗うために洗面台の前に立つ。
いつもどうりの冷めた顔だ、
昨日何故か涙が止まらなくなって泣き腫らしたから、すこし顔が浮腫んでないか不安だったが
変わってなくてよかった、
準備をしていたらあっという間にもう家を出る時間だ。
お母さんが笑顔で行ってらっしゃいと声をかけてくれた。
私はいってきます。とだけ返して遅刻しそうなのでパンをもって走りながら外にでる。
いそがないとバスに間に合わない…
バスはもうバス停まで来ている。
私は急いで走ったがわたしだけを残して行ってしまった。
今日はついてない…
そう思いながらバス停のベンチに腰をかける。
次のバスがくるまで5分以上ある。
少し休む。走ったからつかれた。
少しベンチで休んでいたら遠くから大きな声が聞こえた。
私とは真反対で可愛らしい明るい女の子の声。
私の親友のなつだ。
大きく腕を振って走ってこちらに向かってくる。
なつは相変わらず可愛いな。
大きくくりくりした目。
髪の毛は高い位置にポニーテールをしてる。
誰もが目を奪われていくような容姿とスタイル。
まさに漫画のヒロインのような女の子だ。
すごく羨ましい。
そんな会話をしていたらバスが来た。
私達はバスに乗り学校に向かった。
バスに乗ってる間は他愛の泣いた話をして学校に着くのを待った。
学校についてから私達は教室に向かった。
私となつは同じクラス。
なつはクラスでは全男子の釘付けとなっている。
それはそう。
彼女の圧倒的な顔面偏差値。
コミュニケーション能力。
さりげない優しさ、純粋無垢な性格。
このクラス、いや、この学校の中でもトップレベル。
彼女に思いを寄せる人はたくさんいると聞く。
すごく可愛いなつに落ちない人はなかなかいないと思う。
それに比べて私は………。
考えたくもない…。
そんなことを考えていると教室についた。
教室のドアを開け、自分を席に座った。
自分の席の前の人が挨拶をしてきた。
希だ。
私の好きな人。
彼がいるから学校に行くモチベが保たれる。
私は少し柔らかい表情で言うと希はならよかったわと言って笑顔になった。
こうゆう感じでさりげなく私を見てくれてることが好き。
でも、私は取り繕った感情で接することしかできない。
素の自分が知られてしまったら、もうこの関係は永くは続かないから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。