第64話

64話 この運命に終焉を
8
2024/03/26 13:35
日が、登ってきていた
そしてその日の光は、この戦場を照らしていた
ナバは、ポタポタと血を流しながら俺を抱きしめていた
ナバ
ナバ
…ごめん
ナバは、掠れた声で言った
ナバ
ナバ
さっき言ったことの、9割は真実だ
ナバ
ナバ
…ただ、1割は嘘だ
ナバ
ナバ
その嘘は、俺のために死んでくれってところだ
ナバ
ナバ
お前が大切な者を守るために闘ったように、俺も大切なやつに幸せになってもらいたい
ナバ
ナバ
だから、俺はお前に幸せになってもらいたかったんだ
ナバ
ナバ
能力を封じられる前、お前の罪を俺に被せた
インヘアー
インヘアー
なん…で?
ナバ
ナバ
ギルティには、俺の演技に付き合ってもらった
「お前もよくやるだろ?」と言いたげな笑顔を俺に向けた
インヘアー
インヘアー
なあ…離してくれよ、そうしたらまだ助けを呼べるんだ
そう言ってもナバは離さない
ナバ
ナバ
お前の罪は、俺がお前を止めていればなかったものだ
ナバ
ナバ
だから、罪は全て俺が償うとするよ
ナバの力は、少しずつ弱まっていた
それでも、力強く、俺を抱きしめていた
インヘアー
インヘアー
なあ…なんで、こんなことをしたんだよ
ナバ
ナバ
ははは…わかるだろ?お前に、幸せになって欲しかったんだよ
ナバ
ナバ
俺が死んだら、無名の墓をつくってくれ
インヘアー
インヘアー
無…名?
ナバ
ナバ
俺は死んだが、俺はお前、お前が死んでないなら俺は半死ってところか?
ナバ
ナバ
だから、まだ墓に名前は彫らなくていい
インヘアー
インヘアー
おかしいだろ…何でお前が死ぬ前提なんだよ…
俺はもう、涙を堪えるのを辞めた
いや、堪えれなかった
たった一人の兄弟のようなやつが、死ぬなんて嫌だ
インヘアー
インヘアー
嫌だ…嫌だよ…死なないでよ…ナバ…
ナバ
ナバ
…俺は、転生を繰り返す
ナバ
ナバ
だから…もしかしたら…
ナバ
ナバ
…俺が転生して、またこの世界に来るかもな
ナバ
ナバ
そろそろ…限界だ…
ナバ
ナバ
さよならなんて…言わないからな…
ナバは、最後の気力を振り絞って、言った






















また会おうな





































そして、ナバは力なく倒れた
インヘアー
インヘアー
あ…あ…
インヘアー
インヘアー
______________________________!
俺は、声にもならないほどの声で、叫んでいた
次回 最終話 3月27日0時投稿

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