第10話

#10
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2024/02/27 11:00










蘭「洗濯物、干しといたよ」


弦「掃除機もかけ終わったぞ!」


マリス「散乱してたものもまとめておいたわ」








「ありがとう蘭、弦、マリスも」




洗い物をしながら前にいる式神にお礼を言う









ロウ達が完全に家を出たのを確認した後




直ぐに式神と女神をだして家事を手伝ってもらった




まぁこうしたらすぐ終わるしね




異世界の特権でしょ




蘭「ねぇ主」



蘭に呼ばれたので食器を流す手は止めずに顔を向ける



蘭「アイツら信用できると思う?」



アイツらとはきっとロウ達の事だろう



蘭「特にあの狼野郎、私達の事見てたし」



「狼野郎って…笑」



蘭は式神として生まれた時から気が強い



これもひとつの魅力だろう



蘭「いつか裏切るんじゃない?」






「確かに、絶対に大丈夫だっていう確信はないけど」




あの人なら安心できる




「ロウ…なら平気な気がする」




確信づいたことは言えない



だけど



今頼るならきっとロウしかいない




蘭「まぁ主がそう言うならいっか」



そういうとぱっと姿を消す



「大丈夫。きっと」









洗い物に一段落つきふとお腹が減ったことに気づく



食べるものを探そうと冷蔵庫を開ける



その中身を見て驚愕した



「え、空?」



冷蔵庫の中はもぬけの殻だ



朝ライがなにやら冷蔵庫の中を探っていたけど何も持ってこなかったのはこういうことか


仕方ない



「買いに行くか」









「〜♪」




青空の下



自由に街中を歩き回れることに感動した



行き交う人を見ると北を抜け出して良かったと心底思う



正直西の土地感もわかっておらずどこにスーパーがあるのかも分からない



さぐりさぐりで店を探すとスーパーらしき大きなお店が合った



「ここでいいか」



店内に入り諸々の食品を揃えることが出来た






「ただいまー」



ぼそっと言ってみるがもちろん返答はなく、まだロウは帰ってきていないことが確認できた



昨日の様子を見る限り、そしてあの冷蔵庫を見る限り


ちゃんとした食事を毎日撮っているか怪しい



そんな現状に半分呆れていたけどやはり彼らの優しさに免じてご飯を作っておくことにした



買ってきた食材を冷蔵庫に詰めてコンロやフライパンなどが使えるかも入念に確認する



「よし、パパっと作っちゃうか」



お手製の唐揚げだ



昔(前世)は私の中の一番の得意料理だったんだから


完成したものを見てもやはり私の手は衰えていなかったと自慢気に浸る



夜__といっても18時頃になった頃



玄関の先からガチャガチャと物音がすると



叢雲「なんかいい匂いする?!」


小柳「ほんとだ」


星導「もしかしてミレイさんでしょうか?」


伊波「オレ腹減ったよ〜」



と賑やかな声が聞こえてきた

見回りの仕事が終わったからだろうかどこか疲れた声色ばかりだ



ソファでぐったりとくつろいでいた私もピンと背筋を伸ばすように座り直した



ガチャ



伊波「あ!これってもしかして…唐揚げ!」


叢雲「ほんまや!美味しそう!」


テーブルに置いてある食事に目をキラキラさせて喜ぶ2人


そんな二人を見てると頑張って作ったかいがあったなと自然と頬が緩んだ


星導「部屋も…こんな綺麗にしてくれたんですか」


そう言って私の方へショウが近づいてきた


「いやぁ、別にお家住ませてくれてるし…せめてもの恩返しに…」


星導「いえいえ、本当に助かりますよ。ありがとうございます。」


気恥ずかしくて下を向いてしまった私の顔を除くようにショウはニコニコしていた


皆が手を洗ったり荷物を置いたりして一段落着いた頃、背中をちょんとつつかれ後ろを振り向く


小柳「サンキュな」


律儀にお礼も言ってくれるんだ


「いえ、小柳さんも見回りお疲れ様です」


そういうとふっと笑みを見せてダイニングテーブルの椅子に座った



「食べますか!」



皆に声をかけるとより一層のワクワクした表情で唐揚げを頬張った



伊波「こ、この味…」


星導「あ…」


小柳「……」



あれ皆黙りこくっちゃった



味つけミスったかな



え、もしかしてまずい?!



思わず席を立ち上がる



「も、もしかしてまずかった?口に合わな__」



叢雲「これ!ウェンの唐揚げの味と似てる!美味しい!最高や、ミレイ!」



あれ






まずいわけじゃ…ない?

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