第14話

#14
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2024/04/03 11:00
「へぇ〜東のヒーローやられてるんですね!」





緋八「そうやで〜!今日はたまたま西の地に派遣されてたから助けられて良かったわ!」


赤城「ギリギリだったんだよ〜」



病室に入ってきた2人はベッドの横に来て様子を見てくれているようだ



というか…もしかしてあの時助けてくれたのって



「緋八さんと赤城さんが助けてくれたんですか!!
なんてお礼を言ったらいいか…!」


そういうと気恥ずかしそうに笑う


緋八「ほんま危なかったんだけどね。あとマナでええよ!」


赤城「僕もウェンでいいよ!ミレイちゃんが無事で良かったよ〜」


軽々しく下の名前で呼ぶことが許可されたと同時に


なんか赤城さんの呼び方引っかかるような…


「んん"あの…私赤城さんと会った事ありましたっけ?」


赤城「え?初めてだけど?」


「ですよね〜」



じゃあなんで名前知ってるんだ……



しばらく考え込んでいるとそれに気づいたウェンが「あ!」と声を上げる


赤城「ミレイちゃんの話ならロウきゅんからいっぱい聞いてるんだよ〜」



悪気のないような優しい笑顔


しかしそれはロウにとっては悪魔の笑顔にしか見えていないだろう


「え」


小柳「…………お゙ぃ、ウェン…」


赤城「やだぁ〜もう怒らないでよロウきゅん」


小柳「ロウきゅんって呼ぶな」



本気で嫌がってそうなロウだがほんのりと耳元が赤い


「へぇ…私の話を…」


自覚しているほど抑えきれないニヤニヤがきっと彼の目にも止まったのだろう


私の顔を見た瞬間に「帰る」と直ぐに病室を出ていってしまった


そして廊下から「マジで覚えとけよウェン」と念のこもった声が聞こえてきた



星導「ほんと素直じゃないですよね小柳君」


伊波「な〜」



ショウとライの会話をクスクスと聞きながら


しばらくその場で話した後、各々解散をした


マナとウェンは長期滞在となっているらしくまだ西にいるらしい


私の荷物や着替えはショウやカゲツが持ってきてくれて明日も様子を見に行くと連絡が入った









それから数日……まだ傷は痛むが少し動けるようになるまで回復し、病室で大人しくするのも飽きたので院内を散策することにした




「へぇ〜こんな所に売店あったんだ」



自室の階をおりるとよく分かるがかなり大きな病院だ



1階まで降りると熱や怪我をした人達が大勢居た


「待って、ここ屋上行けるんだ」


最上階からの景色を見たくて屋上へと向かう



最上階は1階とは違い、入院している人のみが入れる空間なのでとても静かだ


「え、重た」



扉に手を掛けて開けようとするが思っていた以上に重たい扉



根気を振り絞ってやっとの思いで開けた扉の先からは思っていたよりも清々しい空気が流れ込んできた



「うわぁ〜凄い!」



いつもより青々とした空が広がる景色に思わず声が盛れた


柵ギリギリのところまで行くと下までじっくりと見下ろせる



「あ、あそこテレビで見たかも。何あれでっか!」



そう一人でブツブツと喋っているとどこからか風に流れて嗅いだことのある匂いがした



鼻をツンと刺すような香り



これって…


「タバコ…?」



よく見れば煙とともにその匂いが流れてきていた



流れてくる元を追ってみれば少し離れたところに黒髪の男



彼も入院しているのか病院着だ
顔には傷があるのか頬や首に包帯が巻かれていた



彼もKOZAKA―Cに襲われてしまったのか、



自分の経験とともに思い出すと胸が痛くなった




「あの…」




気づいた時には私は隣にいた彼に声を掛けていた

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