第5話

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2024/06/21 13:46
深澤side




ピピピピ……、ピピピピ……


深澤辰哉
ん〜…


…眠い。


眠いけど、起きなきゃ…。


そう思って、重たい腕をスマホの方に伸ばした。

まだ覚醒しきってない頭で今日のスケジュールを確認する。


…あれ?なんかおかしくないか?


なんか違和感があるけど、寝起きだからか分からなくて、とりあえず仕事に行く準備をした。


……今日は、めめがいなくなって、翔太が入院してから初のそれスノの収録か…。


少しだけ重くなった気持ちのまま、迎えに来たマネージャーの車に乗り込んだ。




マネージャー
今日、深澤さん遅かったですね


深澤辰哉
んー、ちょっと気が重くてね

マネージャー
へぇ、なんでですか?

深澤辰哉
…え?



「なんでですか?」って聞いた?


なんでって決まってるじゃん。


あんなことがあったんだよ?



深澤辰哉
なんでって、忘れたの?
忘れたわけじゃないよね?


マネージャー
え、なんのことですか?


…ほんとに覚えてないのか?

純粋そうに疑問に思ってる顔を見れば、ふざけんな、なんて言えなかった。


少しの不満を覚えながら俺はマネージャーの運転する車をおりて、楽屋へと向かった。






いつもは騒がしすぎる楽屋。


翔太とめめはぴったりとくっつきあって座ってたな…。


大きな声で笑う翔太と、微笑みながらそれを見てるめめ。


めめに抱きついて翔太に怒られてる、康二とラウール。



もう見れないのか…。


今日の楽屋は前みたいに騒がしいのかな?

それとも、怖いくらいに静かなのかな?



分からないけど、少なからず前見たいな光景は見られないんだろうな。




着いた楽屋の前でいちど深呼吸をした。




…よし、はいるぞ…。




ガチャ……





深澤辰哉
……は?
そんな俺の間抜けな声と一緒に荷物が俺の手から滑り落ちた。


深澤辰哉
…な、なんで、いるの…



楽屋の中には、たしかにあの日いなくなっためめと、病院にいるはずの翔太がいた。


みんなが俺のことを不思議そうに見てくる。



いや、そんなわけない…。



慌ててスマホをカバンから取り出して日付けを見た。




……戻ってる…。





事故が起きた2日前に戻ってる…。



朝感じた違和感はこれだったのか。





じゃあ、あの事故はなんだったんだ?

夢?

そんなわけない、確かにこの目で見たんだ。




頭の中はぐちゃぐちゃなのに、俺の体は勝手に2人のことを抱きしめてた。





目黒蓮
ちょ、え?ふっかさん?
渡辺翔太
なんで泣いてんだよ?



大粒の涙が、2人のお揃いの服に染み込んで跡をつけてく。


抱きしめてる2人の感触が現実なんだって分からせてくれた。




深澤辰哉
…生きてて…、よかった…
渡辺翔太
はぁ?




生きててよかった。


あれは嘘だったんだ。




目黒蓮
夢でも見たの?
深澤辰哉
うん、そうかもしれない…




岩本照
どんだけ怖い夢だったんだよ、笑
深澤辰哉
…2人が、事故にあって…、めめがいなくなっちゃったの……。
翔太は…、記憶喪失になるし…
目黒蓮
ふっかさん、大丈夫だよ。
俺、今日も元気に生きてるから
渡辺翔太
俺も記憶無くしたりしてないから、笑
深澤辰哉
…うん、よかった…



よかった。


あれは夢だったんだ。






















「事故に巻き込まれた〜〜」




イタズラ電話。



慌ててるスタッフ。



そのスタッフの口から発せられてくる言葉。






マネージャー
事故に巻き込まれた渡辺さんは急遽、心臓を移植して助かりました…。
だけど…、目黒さんは…、即死…でした…。渡辺さんのドナーになったのは、脳死判定のでた目黒さんです……





なんで……

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