第40話

迷惑な客
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2021/07/07 05:27
「あなた、ちょっと出かけようよ」
『無理。私疲れてるし』
「だったら俺が連れてってあげる」
「ちょ、ちょっと待ってください!いきなり入ってきたと思えばなんなんですか貴方!」
「俺は黒澤。お前の上司の対の存在だよ」
「黒澤…?」
「英雄の桃タローだっけね。キミが否定する権利とかないと思うけど?」
『無理なものは無理だって言ってるでしょうが』
「気にしなーい気にしなーい♪」
「俺は、ただの従業員です。だけど、どんな女性でも嫌がっているなら助けるのが漢だと思います」
『』
「何スかその顔!俺だって珍しくいい事言ったんですからせめて見直したとかくらい思ってくださいよ⁉︎」
「…ふぅん」
『…』
「俺はなんでも知っている。だから、あなたが話していないコトも知っている」
「あなたさんが話していないコト…?」
『……』
「そ。だから、あなたのことは俺が全部理解しているも同然なんだよ」
「どうかなぁ?僕の方が理解してるよ?」
『‼︎』
白澤様………
『…あの、白澤様』
「なぁに?」
『その首に巻いてる腕邪魔なのでどかしてくだs』
「あなたはちょっと黙ってて」
『………』
「久しぶりだね黒澤。姿形変わってないのに生気は感じないけど?」
「神様に生気もあるか。白澤、あなたを理解してるなんて言えない立場だぞ。先程も言ったがあなたはまだお前に話してないコトがたくさんあって」
「そんなのはどうでもいい」
「…」
「知らないからなんだ?これから知っていけばいいんじゃないの?全てを理解すればいいってもんじゃあないんだよ」
「…へぇ、女たらしのお前が女一人に執着かよ」
「悪い?」
『……!』
「…もう、お引き取り願いますか」
「……今日は大人しく帰るよ」
『アンタ今ここで生き埋めにしてあげましょうか?』
「………あなたがそう言うなら行かない」シュッ
『………』
「ああいう拗ねるところは白澤様と変わらないというか…」
「あいつと僕を一緒にしないで」
「白澤様も敵視しているような人物なんですか?」
「まあ、鬼灯の次に嫌いなヤツだね。いくら自分の半身だからって好きなれるわけじゃあないし」
「ふぅん……」
「それよりあなた、どうして言ってくれなかったの?アイツと関わってるって」
『…大した事ないと思ったんです。いちいちあなたに報告することなんてないですよ』
「そうかもしれないけど、今回みたいなことだってあったんだからあなただけの問題じゃないんだよ」
『…善処します』
「(あれ?珍しい…あのあなたさんが白澤様の言うこと聞いてる…)」

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