万次郎は焦ったようにエマちゃんに話しかける
でももうエマちゃんは、万次郎の声に反応しなくて
まるで、あの時の圭介みたいな
私はしばらくなんの音も聞こえなかった
夢の中にいるような
自分一人だけが暗い世界を歩いているような感覚だった
エマちゃんが、死んだ?
そんなわけない。だって、さっきまで生きてて、私に笑いかけてくれて、ジュースだって奢ろうとしてくれてて
誰より優しくて、気遣いが出来て、可愛くて、素敵で、非の打ち所がなくて
うん。そうだねエマちゃん
私も、一緒に
黒川イザナ side
エマを殺した稀咲はなんとも清々しい顔をしていた
オレもだけど、コイツは人を殺すことに何も躊躇いを感じていないんだろうな
稀咲はその後つらつらとマイキーを空虚にする為の計画を話した
邪魔なもんは消しちまえばいい
最愛のものを失っていくマイキーを見て高揚した、ってね
ふぅん。何言ってんのかよくわかんねぇな
あぁ、あなた
オレはお前が欲しくて堪らないよ
あなたが向ける笑顔全部オレが欲しい
あなたの全てが欲しい
きっとエマの死であなたも空虚になってきている
その空っぽな心にオレがたくさんの愛をあげるよ
君がそうしてくれたように
時間をかけて、ゆっくりと
白谷あなた side
病院に着いた頃にはもう
エマちゃんは亡くなっているとお医者さんに言われた
白いベッドに寝かされているエマちゃんはまだ生きているんじゃないかと、そう勘違いしてしまうくらい
いつもと変わらなかった
龍宮寺君の顔は明らかに死んでいて
龍宮寺君と万次郎、そして花垣君は外に出ていってしまった
どれだけ話しかけても、エマちゃんからの返答は無い
どれだけ手を握っていても、温もりを感じることも、手を握り返してくれることもない
エマちゃんの手を、私の首にかける
握ってくれないのは、生きている時でも同じかな
持っていたナイフを自分の首にあてる
これで、何もかも終わり














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。