降谷 「..........そうだ、萩、お前事件当時の証拠写真持ってたよな?」
萩原 「あぁ、教官が渡してくれたやつだろ?」
降谷 「あぁ。ちょっと見せてくれないか?なにかわかるかもしれない。」
萩の着ていたジャケットのポケットに入っていた写真は、遺体の写真がほとんどだった。
諸伏 「.............遺体の写真なんて持ち歩いてたのかよ、。」
萩原 「どうせ今日の飯のときに話し合うだろうと思って持ってきてたんだよ。」
降谷 「ははっ、流石だな。」
4,5枚ある遺体の写真には、両手をロープで縛り、拘束された状態で血だらけになっている被害者の姿が写っていた。
諸伏 「.............酷いな、。」
降谷 「........あぁ。」
萩原 「拘束させて動けないようになったガイシャを滅多刺しか。」
この家で殺されたのは、原田辰夫さん56歳と、その妻である原田のぶ代さん53歳。二人に子供はおらず、2人身で同居していたところを、犯人によって殺害されたようだ。
ヒロの言った言葉に写真に映る被害者を見ると、何か、深い違和感のようなものを感じた。
..............なんだ、この感じ。
諸伏 「........なぁ、ゼロ。この事件があったときって暑かったよな?」
降谷 「........えっ??あ、あぁ。」
この事件があった3日前は、今季最高気温を更新した日だった気がする。
..........俺も、暑くてうなされてたのを覚えてる。
萩原 「...........ヒロ、何か気づいたのか?」
諸伏 「あぁ、この奥さんの方、まだ暖かかったのにスカーフを巻いているのが気になって。」
萩原・降谷 「.............っ!!!」
そうか、!服装!!
諸伏 「.........スカーフだけじゃない、長袖まで着ているのもちょっとおかしいくないか?」
降谷 「この事件があった2週間前はまだ夏になったばかりだったはずだ。...........ッッ!、、、、もしかして、犯人がわざと、?」
萩原 「遺体に何かを隠したってことか?」
諸伏 「いや、その可能性はないだろう。とっくに警察が調べているはずだし、この傷だらけの体から証拠を探すのは難しい。きっと、犯人もそれくらいはわかっているはずだ。」
萩原 「となると、残った可能性は.........、。」
降谷 「________元々着ていた服____、。」
萩原 「はっ、なるほどねぇ〜、、。女性の服を脱がせて、わざわざ着せ替えるなんて。....あぁ〜怖い怖い。」
そう言って萩は震える仕草をしてみせた。
.........呑気なことを、、、....。
降谷 「証拠を残さないようにしていても、何かをする限りは必ず証拠は付いてくる。」
慣れている犯人でも、見落としているところは必ずあるんだ。
諸伏 「とりあえず、奥さんが元々着ていた服を探してみよう。」
降谷 「あぁ、そうだな。」
ヒロの言葉にうなずき、萩はクローゼットを、ヒロはタンスの中を、ぼくは散らばっているものの中に入り込んでいないかをそれぞれ確認する。
萩原 「..............こっちには入ってなさそうだな。」
諸伏 「俺のとこもなさそうだ。...........もしかして、犯人が持ち出したのか、?」
降谷 「いや、多分それはない。犯人は強盗に見せかけて何も盗んでいないないし、荒れているだけで元々あったものがなくなっているわけでもない。その証拠に、金庫の中身は取られていないだろう?それはきっと、盗品は足がつくことがわかっているからだ。」
萩原 「.........ッ!なるほど〜。」
降谷 「だからこの家の何処かにあるはずなんだ。」
萩原・諸伏・降谷 「...........ん~、、、。」
惜しいところまでは来てるんだ、。でも、核心に行けない。........なんだか、自分の推理も納得がいかない。
その瞬間、大きな間違いを自分がしていたことに気づく。
降谷 「犯人ではなく、被害者だとしたら....、?」
萩原・諸伏 「..............えっ、?」
降谷 「そうだ、そうだよ!!もし仮に犯人の手がかりが被害者の服にあったとして、犯人がわざわざ長袖やスカーフをつける必要なんてないんだ!!」
諸伏 「そ、そうか、!そんなことをしたら衣服の異変を示しているようなものだもんな、!」
萩原 「じゃあ被害者が気温に合わない服をしてたのって、、、、。」
降谷 「..........多分、決定的な手掛かりを残してくれたんだ、被害者が命を懸けて____。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。