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第1話

愛していました。
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2021/12/06 11:18 更新
あぁ。

女は言う。

あなたを誰よりも愛していました。

棺に向かってまた言う。

愛していたんです。

もう彼は目覚めない。



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女は思った。

なぜ私ばかりが醜い思いをしなければならないのか。

女は思った。

彼にだれも寄り付くな

と。

私は愛するあなたのために辛い思いまでしている。なぜ報われないのだ。

彼は言う。

お前だけが清くてはいけない。

と。

女は意味がよくわからなかった。

彼はこの街で知らぬものがいないほどのお方で、幸いにも、女はその彼のそばにいる。

いつも。

女は泣きながら微笑んで言った。

あなたという存在がなかったら私は自由だった。

と。

彼は頷き答えた。

あなたが一番汚れた心を持っている。

と。

女は思った。

何故私なのだ。

と。

そこで彼は明日、自宅で晩餐会を開くといい、街中の人に声をかけた。

そして晩餐会の時、彼は言った。

心が汚れ、気づいたのなら、私はその人を救う。
だがもし気付けなければ私をその人が裏切るだろう。

女は思った。

私は彼を愛している。
ならば私は汚れていない。

と。

3日後の朝、彼は静かにいった。

やはり、私が一番汚れた心を持っていた。
だからこそ私は見捨てられたのだ。

と。

女は言う。

愛していました。

と。


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