………。
理解が出来ない。脳が追いつかない。
今僕は何を聞いていたんだ?何が耳にはいってきたんだ?
耳がそうまの言葉を受け付けなかった。
そまはいつも僕の味方をしてくれた。
だから、僕の意見はいつも正しいと思っていたし自信を持って伝えることが出来た。
それなのに…。
何か想いがあるのに、言葉にできない。
それなのに思ってもいないようなことが次々と口から出てくる。
てるとが困った顔で2人の顔を見る。
そまむらの乱に1度終止符が打たれた…
とはならなかった。
立ち上がり、最低限のものしか入っていない小さなリュックを背負う。
何も考えられなかった。ただただ無心に足と口を動かした。
─────────バタン
会議室の扉が閉まる
まひとが立って追いかけようとする
そうまが首を横に振る
──────────────────
僕は間違ってない。正論を言っただけだ。何も間違ってないんだ。
ずっとそう言い聞かせていた。
でも分かっていた。ただの自分のワガママだってことに。
もちろん最初の想いが間違ってるとは思わない。
でも、僕が好きな相手とぶつかり合うのを怖がり、実際に起きてしまいただヒステリックになっただけ。ただそれだけなんだ。
「好きも嫌いも関係ない」
「僕達はぶつかり合える関係」
その通り。そまの言ってることの方が正しいのに…なのに。
思ってもないことを口にしてしまった。人を傷つけてしまった。最低だ。
電車の中、1人考えていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。