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第5話

3章前編 奇病の流行る街
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2024/10/12 07:56 更新
私達はその日も、次の街へ向かうためにコンクリート造りの道を歩いていた。
フォンセ
フォンセ
ごほっ、ごほ
リーヴ
リーヴ
フォンセさん、どうかしましたか?
フォンセ
フォンセ
あー…たぶん風邪気味だ
ここ最近色々な場所を歩いてきて、それとともに激しい気温差に晒されてきたからだろうか。
リーヴ
リーヴ
大変!休まなきゃ!治してください!!
フォンセ
フォンセ
ちょ、私活動不能ってほどじゃないぞ!?そこまで焦らなくても……
リーヴが大袈裟に心配してくる。なんだ?やっぱり医者だからそこまで細かい健康に気を遣うのか?
そう思っていると、リーヴが口を開く。
リーヴ
リーヴ
フォンセさん、免疫が弱っていてはダメなんです…なんだって、
リーヴ
リーヴ
次行く街は、奇病が流行しているんですから。
数日テントで休み、風邪を完璧に治して街にたどり着く。
リーヴ
リーヴ
感染対策を万全にしたとはいえ、絶対かからないということはありません。本当に大丈夫ですか?
フォンセ
フォンセ
でも行くしかないんだろ。私も行きたいし大丈夫だ
街のゲートをくぐって少し歩く。
そこは、海の見える港町。立ち並ぶ船が街の景色を彩り、通り抜ける潮風が髪を優しく揺らした。

しかし、人がいない。人の集まりそうな建物と声ひとつ聞こえない静けさの対比が、異質だった。
フォンセ
フォンセ
んで、こっからどうすんだ
リーヴ
リーヴ
街の奥に小さな診療所があるんです。そこのお医者さんと知り合いなので、診療所を助けましょう
フォンセ
フォンセ
診療所か、わかった
街をしばらく歩くと、診療所に着いた。
フォンセ
フォンセ
てかなんか…ボロくね?
率直な感想だ。建物は屋敷じみている。大きさもかなりあり、立派だ。だが…ボロい。診療所とは思えない外観だ。
リーヴ
リーヴ
ここは、今の医院長が先代からずーっと受け継いできているんです。建物もそのままなので、少し古いですね
フォンセ
フォンセ
ふーん、お前の知り合いがここで勤めてるのか?
リーヴ
リーヴ
いえ、私の知り合いは医院長ですよ。ここ建物の割に人手は不足してるので
フォンセ
フォンセ
まじかよ。一体どんなやつなんだか
私は代々受け継がれている屋敷と医者一族と聞いて、なんとなく偉そうなジジイを思い浮かべた。だいたい親がいつも会ってた医者はそんな感じだったから。
リーヴ
リーヴ
たぶん、伝令魔法で私が来ることは伝えてあるのでもうすぐ…
その瞬間、ボロいドアが今にも破れそうな勢いで開く。
ティーネ
ティーネ
うわー!!リーヴじゃんお久〜!!
リーヴ
リーヴ
ティーネさん、相変わらずで何よりです!鼓膜が破れるかと思いました
出てきたのは、私と同じくらいの少女だ。身なりはだらしなく、髪はボサボサで声がでかい。
リーヴ
リーヴ
紹介しますね、この人が今一緒に旅をしているフォンセさんです
ティーネ
ティーネ
わー!ん?フォンセ?なんか聞いたことあるぞ…?
フォンセ
フォンセ
あー、割と親が有名だから知ってるかもしれん。ルイン族ってとこの
ティーネ
ティーネ
そっかそっかー!どーりで聞いたことある!かーさんが「出張でルイン族の屋敷に行ったら娘さんの余命が1ヶ月〜」とか言ってた!
フォンセ
フォンセ
お前の親だったのか、私を診断したの…って、おい
あまりにも勢いよく話を振ってくるのでつい答えてしまったが、まだ聞いていない。
フォンセ
フォンセ
まさか…お前が医院長なのか?
ティーネ
ティーネ
ん?そだよー。任されちゃってさー
こんな適当な喋り方するやつが…いや、まずこの若さで委員長っていくらなんでも…?
ティーネ
ティーネ
いやーね、かーさん出張で忙しくて。そうそうリーヴと出会ったのも出張先で魔法教えたらこっちまで帰ってきて修行するっていうから知り合えたのもそのおかg
リーヴ
リーヴ
ちょっとティーネさん!!過去話を勝手にするのはやめてください!!
ティーネ
ティーネ
あーごめごめ。すまない
ティーネは棒読みで返す。リーヴもやはり過去を聞かれるのは恥ずかしいものなのか。まあこいつ経歴色々謎だしな。
リーヴ
リーヴ
というかティーネさん、伝染病の話まだしてませんよ…
ティーネ
ティーネ
あー!ごめーん!
こちらは意外と本気そうに返す。いや本気なのか?
少なくとも上がっていた口角は水平になり、話し出す。
ティーネ
ティーネ
港町だからさ。他に行った船乗り達が病気持ってきちゃって
ティーネ
ティーネ
今、街の7割くらいかかってる。診療所スタッフもみーんなかかっちゃった
フォンセ
フォンセ
な、7…結構な割合だな
ティーネ
ティーネ
まー軽症は薬で治るようになったから減るんだけど重症の奴が酷くてね。ここに入院させてるのは全員それ
そう言いながら再び扉を開いたティーネが診療所内に私達を連れていく。
中も想像通りの立派だがボロいお屋敷で、木に文字の彫られた案内板を指しながら、
ティーネ
ティーネ
んで、君達にはここの病棟を担当してもらいたい
フォンセ
フォンセ
待ておい
ティーネ
ティーネ
ん?何?
フォンセ
フォンセ
1フロア1人って嘘だろ……
こいつさっき他のスタッフ全滅って言わなかったか。1人で十数室担当は無理がある!!
リーヴ
リーヴ
ティーネさん、来る前そんなこと言ってなかったですよね?その業務量なら告知してもよくなかったですか?
ティーネ
ティーネ
だいじょぶ!フォンセは初心者って聞いたから他フロアより数室くらい少ない1Fにしてる
リーヴ
リーヴ
私は無視ですかー…フォンセさん心配なので見に行きたいんですけど
ティーネ
ティーネ
リーヴは大丈夫だろ!多分。業務のあいだに見に来ればいいじゃん
リーヴの圧をこんなに流せるのは素直にすごいと思った。じゃなくて。
フォンセ
フォンセ
で、その重症ってどんな症状なんだよ
リーヴ
リーヴ
そうです。それを教えてください
ティーネ
ティーネ
んー、まあ高熱・嘔吐・倦怠感はデフォね。まだいないけど、このままじゃ死人が出てもおかしくない。あとは
ティーネ
ティーネ
みんな、ずっと幻覚を見るの

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