私達はその日も、次の街へ向かうためにコンクリート造りの道を歩いていた。
ここ最近色々な場所を歩いてきて、それとともに激しい気温差に晒されてきたからだろうか。
リーヴが大袈裟に心配してくる。なんだ?やっぱり医者だからそこまで細かい健康に気を遣うのか?
そう思っていると、リーヴが口を開く。
数日テントで休み、風邪を完璧に治して街にたどり着く。
街のゲートをくぐって少し歩く。
そこは、海の見える港町。立ち並ぶ船が街の景色を彩り、通り抜ける潮風が髪を優しく揺らした。
しかし、人がいない。人の集まりそうな建物と声ひとつ聞こえない静けさの対比が、異質だった。
街をしばらく歩くと、診療所に着いた。
率直な感想だ。建物は屋敷じみている。大きさもかなりあり、立派だ。だが…ボロい。診療所とは思えない外観だ。
私は代々受け継がれている屋敷と医者一族と聞いて、なんとなく偉そうなジジイを思い浮かべた。だいたい親がいつも会ってた医者はそんな感じだったから。
その瞬間、ボロいドアが今にも破れそうな勢いで開く。
出てきたのは、私と同じくらいの少女だ。身なりはだらしなく、髪はボサボサで声がでかい。
あまりにも勢いよく話を振ってくるのでつい答えてしまったが、まだ聞いていない。
こんな適当な喋り方するやつが…いや、まずこの若さで委員長っていくらなんでも…?
ティーネは棒読みで返す。リーヴもやはり過去を聞かれるのは恥ずかしいものなのか。まあこいつ経歴色々謎だしな。
こちらは意外と本気そうに返す。いや本気なのか?
少なくとも上がっていた口角は水平になり、話し出す。
そう言いながら再び扉を開いたティーネが診療所内に私達を連れていく。
中も想像通りの立派だがボロいお屋敷で、木に文字の彫られた案内板を指しながら、
こいつさっき他のスタッフ全滅って言わなかったか。1人で十数室担当は無理がある!!
リーヴの圧をこんなに流せるのは素直にすごいと思った。じゃなくて。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。