いつも思っていたが、前のBossとは少し雰囲気が違う。
褒められたことは最初の頃だけだった。…このBossもいつか僕をペットのように扱うのだろうか。
所詮この世は金だ、愛されようと期待するだけ無駄なのだ。
それは一番自分がわかりきっている。
この組織は賑やかだなとつくづく思う。
…前のところとは比べ物にならないな、なんて心の中でうっすら笑ってみせる。
あの頃は誰もかもが自分勝手に行動していた。
ミスを犯したものには罰が下される。
暴力、性行為、脅し、そんなの軽い物だ。
僕だって、殺されかけたんだ。アイツに。
今でも思う。
古くボロボロの小さな机に依頼書が散らばる。
皆一斉に机と顔を向き合わせ文章を軽々と読み続ける。
毎晩、ネオンが光る街の反対側にある古びた小さなカジノ。
ギャンブラーや酒に溺れ、ましては金がないというのに勝負を持ちかけ敗北するイカれたヤツらが集まる場所。
そこのカジノ経営者の小さな控え室で殺人が行われているらしい。
仲間とカジノに訪れゲームを進め、終盤へと近付き帰ろうとした。だが仲間の姿はどこにも居ない。どこを探しても電話をかけても。
暗くタバコ臭い室内の中で必死に探し続けていた。酒の飲みすぎでトイレにでも行って吐いているのだろうかと様子を見に行ってもそこには誰の影もなかった。
そして辿り着いた小さな控え室。その控え室から鉄のような生臭い匂いがした。
グチャグチャ、とうっすら聞こえる音に肩が跳ね、私はなにもできないままそのカジノを去った。
私だけではなく、他の来客も同じような被害を受けているそうだ。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。