第8話

狂6
7,088
2020/05/22 09:39 更新
家に帰り、

リビングのソファーに腰掛ける。




『はぁ…』



未だに侑が浮気していたことが信じられない。






私以外の女の子に触れて、




キスして、




「好きや」______なんて






言っちゃってさ。






『っ………』




ズキッ。




胸が痛い。





苦しい。





1人になればなるほど痛感して



涙が溢れ出る。




……これからどんな顔して侑と会えばいいのか。





いや、もしかしたらもう「別れようや」なんて
言われちゃったりして。






『……あ。』





ふと手元に目をやると…

080__と治の電話番号が書いてある。





『……これくらいいいよね。』





侑だって浮気してたんだし。





ピッ_ピッ。とスマホを操作して

「登録」ボタンを押した。





別に登録した所で何かが起こるわけでもない。



〝俺が必要になったら____〟





『……』




必要になる事なんて……ないと思うし。


________________

侑side



空き教室を出て、すぐに外の手洗い場へ向かった。




ジャーッ___。



勢いよく水をだして〝触れた口元〟を洗う。





侑「チッ………きっしょ。」




あなた以外の女から口付けをされ、


そして…その唇を黙らせるように抱き寄せた。




キュッ。




水をとめ、ポタポタと水滴が落ちる。




侑「ふっふ……いつ気づくやろなぁ。」




俺があなた以外の女と「浮気」しとったって気づいたら…





お前は嫉妬してどんどん俺に溺れるやろなぁ。





俺の事だけしか考えられんくなるやろ……?




俺の事だけしか見えんくなるやろ……?





もっとや。





もっと俺に溺れて





もっと俺を欲しがれ。





侑「ふ…
俺が〝愛しとる〟のはお前だけなんやから…」






治「……ツム。」



侑「…なんや、サムか。」





少し表情の強ばったサムが「早う部活行くで。」と
俺に背を向け歩き出した。




侑「……なぁ、サム。」





治「…なんや。」




侑「俺………あなたん事愛しすぎて



〝溺死〟させてまうかもなぁ。」







治「……………アホなこと言わんでええから、
北さんがカンカンやで。」





_________________
あなたside




午後8時過ぎ。





ブーッブーッ__



『っ………きた……』





スマホには「着信中:侑」の文字。




正直__あんな事を目の当たりにした今日、


一言も口を聞きたくない。




でも出ないとまた……




『ああもう。


__はい、もしもし。』





侑「あなた、何しとった??」





『……何って、お風呂上がったとこ。』





侑「さよか、風邪ひかんようにな。」





『うん、ありがと。じゃあまた明日。』





侑「はぁ?なんやそれ、まだ俺話t))」





ピッ。





『…あ。やっちゃった。』





彼の会話を遮って通話終了ボタンを押した。




『私の事なんかどうだっていいでしょ。』





あの子が本命なんでしょ…?




本当はさっさと別れたいんでしょ?




『……やだ……行かないで……


っ___。』





あれ…?





どうして__?






苦しくて悲しくて__イライラしてるのに。






行かないで欲しい……そう思っちゃうの_?






私以外の女の唇に触れないで…。




お願い……





『っうッ……ヒック……やだよ……っ__。』





ああ、私




本当に矛盾してる。








__________________
次の日の昼休み。



昨日は結局散々泣いた。




声だって枯れたし、目元も腫れている。




なるべく顔を見られないように
下を向きながら廊下を歩いていると、



ガシッ_。




『__!』



突然腕をつかまれ、「進路相談室」とかかれた教室に
引きずりこまれた。





侑「捕まえたで……あなた。」





『あ……っ、侑……』



彼は片手でドアを閉め、もう片方の腕で私を抱き寄せる。



侑「なぁ……なんなん?自分。
俺の電話途中で切るし、LINEも未読無視やし。」





『…それは……』





侑「ん…?目ぇ腫れてるやんか。
何かあったん?」




『…別に。』



侑のせいだよ_______。



なんて言えない。



侑「自分……その態度ええ加減にせぇよ。」




『…!!__んっ。』




私の顎をつかみ乱暴にキスを落とす侑。



侑「は……っ……」


ヌルッ_、と舌が入ってきて

呼吸が段々と苦しくなっていく。



チュクッ……チュッ…



『んんっ……ふっ…あっ、あつ…むっ……』




苦しくて彼の胸元を押すも、ガシッと手首を押さえつけられてしまった。





『(息が………っ……できない……)』




限界まで深いキスを続けられ、

足元から崩れそうになった瞬間


…やっと唇が離れた。




侑「ふ……涙目やんか。可愛ええなぁ。」




『はぁっ……はぁ……』



はやく酸素が欲しくて大きく呼吸をする。





侑「……で、何があったかいうてみぃや。」



『……』



本当は言ってやりたい。


「浮気してるでしょ」って。



でも………何故だか言えない。



言ってしまえば全てが壊れてしまいそうで、


侑を失いそうで___怖い。




『…じ、実は…体調悪くて……』



侑「……嘘はええから。はよ言えや。」



『っ…』




やっぱり全部わかっちゃうんだ。



でも、、もうどうしたらいいの。




言えない……言いたくないのに。





ガララッ__



『!!』




途端、ドアが勢い良く開けられた。




侑「……なんやねん。今取り込み中なんやけど。」





『……っ………』


そこにいたのは





治だった。







治「…別に邪魔するつもりやなかったんやけど。

ここ、今から使うから他でやってや。」





侑「あ?なんでや。」




治「2者面談や。……先生くるで。」





『(あれ……今日2者面談の日だったっけ……)』




侑「しゃんなしやな、行くで、あなた。」




『う、うん…』



侑に腕を引かれ、進路相談室を出る。




最後に治と目が合ったが、

とっさに逸らしてしまった。




侑「…もう、ここでええわ。
何があったが早う言えや。

俺次移動教室やねん。」





……ああ、もうやっぱり

言わなきゃいけないのか。



『……私……』




キーンコーン_____




『!予鈴だ……』




侑「はぁ………もうええわ。

部活終わり電話で聞く。」





『えっ………』




そう言って背を向ける彼。



どうして…?いつもなら「放課後な」って言うのに。




もしかして……今日もあの子と会うの、?


やだ……



やだよ、侑……




〝行かないで。〟






『ッ………!!侑!!』




気づけば走り出していて、



侑を後ろから思いっきり抱きしめていた。




侑「…!!っな____」





『…ねぇ、私の事___好き…?』




他の生徒や先輩たちが見ている。


…でもそんな事今はどうでも良かった。




侑「ふっふ……何言うてんねん。

愛してるに決まってるやろ?」




『…!うん。』




その言葉を聞いて__少しだけほっとした。



それがたとえ……〝嘘〟だとしても。




貴方から離れたくなくて。




私から離れないで欲しくて。




そしてゆっくりと侑から離れ、

他クラスの子達の目線をくぐり抜け


そのまま自分の教室へ向かった。














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