第9話

狂7
7,065
2020/05/24 14:19 更新
侑side







『ッ………!!侑!!』




後ろからあなたの声がしたかと思えば



途端に思いっきり抱きしめられた。



侑「…!!っな____」





『…ねぇ、私の事___好き…?』




他の生徒や先輩たちが見ている中、



不安そうな声で言う俺の女。






ああ……ニヤけが止まらん。



これや、これ。


俺が求めとるんは、



〝俺を必死に欲しがるお前〟や。




侑「ふっふ……何言うてんねん。

愛してるに決まってるやろ?」




こう言えばお前は安心するんやろ?



欲しがれば与える、
欲しがらなければ離れるの繰り返しで



お前はどんどん俺に溺れる。





どんどん俺から離れられんくなる。




『…!うん。』





思った通り、

安心した様な表情で
自分の教室に戻って行ったあなた。




侑「………んー。


おもっとったより早うバレてもうてるみたいやな。」




俺の考えではもう少し時間かけて気づかそう
思たのに。




まぁ、ええわ。




どうせ俺から離れられんくなるんやから。


____________________

あなたside



1日も終わり、放課後になった。




『はぁ…』




愛してるって言いながら、


どうせ今から会うんでしょ?



…あの子と。





帰ろうとしていた時、ピタッ、と足が止まった。




_______気になる。





2人がこれから会うのかが、気になってしかたがない。





『(どうしよう……帰るに帰れない。)』




なんて言うんだろう、この感じ。



気になるけど見たくない。



そんなこんなでうろうろと廊下を歩いて
葛藤を繰り返していると、



治「ん…?あなたやんか。」




『…!』



治だ…

てっきりもう部活に行ったかと思ってた。




__一応、侑がまだいるかもしれないから、
ペコッ、っと相づちだけうつ。





治「…言いにくいんやけどな、、実はまたツムが
部活に来ぉへんのんや。」





『っ……』



ズキッ。





やっぱり、またあの子と会ってるんだ。




なら…きっと「あの場所」にいるはず。




…今侑はいないから、もう話してもいい。




『……治、私侑がいる場所……知ってるよ。』



治「…!もしかして昨日の…?」



『…うん。だからさ____



こっそり〝偵察〟しようよ。』




治「偵察て…まぁええけど。
…あなたがええなら。」





そう言って治と一緒にこっそりと昨日の「空き教室」へ向かう。





____着くとやはり人がいるようで、


内側から鍵が掛けられていた。




今度は窓も鍵が閉まってる。




『……』


耳をすますと侑と昨日の女子の声が聞こえた。


私に続くように治もドアの下方に耳をあてる。




女「なぁ、彼女ちゃん気づいてへんのん〜?」




侑「んー。知らん、どうやろな。」





女「なぁ、ぶっちゃけどっちが本命なん?
うちとあの子!」



『…!』




どうしよう……もし浮気相手の方だって言ったら…




心臓がドクッ…っと脈打つ。



侑「……どっちやと思う?」




『っ…!』




は……?〝どっちやと思う?〟……?




なに……それ。




なんではっきりしないの?




私じゃないの?




どっちでもいいってわけ?




今まで半年の間付き合ってたの私じゃん。




その子は___遊びじゃないの?




まさか本当にその子が本命……?




『っ………』



だめだ、これ以上耐えられない。



聞いてられない。呼吸が……苦しくなる。




治「…!あなた…顔色悪いで…?))コソッ

大丈_____」





女「ねぇ、ここでせぇへん?」




『__!!』


治「……!」




突然、女がとんでもない事を言い出した。



待って……お願いだから…




これ以上私を苦しめないで。





やだ……やだよ、侑……!!





「うん」って言わないで……!!




私以外の子に触れないで…っ……




侑「____








___ええで、……ヤろか。」





『__!!!そ……んな………』



治「っ……あのクソボケが………」





そこから先は聞くに絶えない「音」や「言葉」が
私の心をえぐった。




女「んっ……//♡あっ…!宮くんッ…//」



侑「…うっさいわ、もっと黙れや。
他に聞こえるで。」





女「ああっ……!/♡」






もう……嫌だ。




この場に居るだけで目眩めまいが起きそうな
__そんな感覚。





ねぇ、どうして……?





やっぱり…私は要らなかったんだね。侑。




『っ……うっ……はっ…うっ…』



あれ……?呼吸が………上手く出来ない___




苦しい………




治「……!あなた!もうアカン、
向こう行こ、……って、やばいやんか!!」




グイッ__!



目眩と過呼吸で歩くのさえままならない私を抱え、
2組のクラスへ連れて行ってくれた治。




『はぁっ……っうっ…はっ…』



苦しい……呼吸が上手くできない…



私は今__人生で初めて「過呼吸」というものになっているみたいだ。



治「大丈夫や…、大丈夫。ゆっくり呼吸しぃや。

吸うんやなくて、吐くんや


……そうそう、それでええ。」



私の背中をさすりながら、落ち着かせてくれる彼。




ああ、今誰かの優しさに触れれば涙が出てしまう。




呼吸が落ち着いて来たのと同時に涙が溢れ出た



『ッ……っもう、なんで………なんでよっ……侑……』





治「……あなた、」





ギュッ___。




『……治……』




抱き寄せて、私の頭を自身の胸元に当て泣き声が
周りに響かないようにしてくれる治。




……どうして、こんなに優しくしてくれるの…





『うう…ッ………ヒック…』



治「…なんぼでも泣いたらええ。

ここには俺しかおらんのやから、。」




『っうっ…あつ、むがっ……ヒック…他の子と…っ…
まさか…シちゃうなんて…ッ…』




治「おん……ほんまにクズやな、あいつ。」




『うん…っ……でも…』



治「でも………それでも、



嫌いになれへんのやろ?」





『…!うん、』




よしよし、と私の頭を撫で、落ち着いたら
離してくれた。




『…また、治に泣きついちゃった。
これでもう2回目だね、本当にごめん、、』




治「ふ…俺ん事は気にせんでええから。

…それより、
まさかツムが他ん奴とヤってまうとはな、」




『……うん、未だに信じられない、』




治「……別れてまえ……って言いたいけど、
好きやもんな、まだ。」




『…うん、

私だって、こんな状況で別れないのがおかしいんだって自覚はしてる、、』




それでも気持ちがまだちゃんとあるのは


悔しいくらい事実で、




簡単には消せなかった。




治「…せやな。

でも、辛くなったらいつでも相談するんやで?
俺がついてるからな。」




『うん、!ありがとう。治。』






治「あなた、」




『なに?』





治「無理してわろたらアカン。」





『!…うん。そうだよね、』





作り笑顔もばれちゃうか、




正直、昨日と今日で私のメンタルはボロボロ。




これからどうしたらいいのかもわからない。



「普通どうり」なんてましてや簡単なことじゃない。




『……どうしようかな、』




治「?これから?」



『うん、』




治「「今までどうり」をよそおう。ってのは
どうや?」



『装う?』



治「おん。無理して過ごすんやなくて、
装う感覚で行くんや。

…そうすればツムもおもろないやろ。」




『なるほど……日常に変化を出さなきゃいいってことだね。』






治「せや、まぁ、何かあったら俺に言い。

ほな俺部活行くから。気をつけて帰るんやで?」




『あっ、うん!ごめんね、遅くまで、、
また明日!』




治「おん!」





………侑、





まさかそこまでやるなんて思わなかったよ。






ねぇ、どういう気持ちでその子を抱いてるの?






『……教えてよ、侑。』





教室の片隅、ポツリ、と呟いた言葉は



いつも通りの部活の掛け声、吹奏楽の演奏によって




簡単にかき消されてしまった___。




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