「APEX LEGEND-AnotherDimension 異世界行ってもレジェンドは最強だった件について」
第35話「訪問者」
当たり前に過ぎていった日々に終わりが突然来た。
それは、激しいアラーム音のようなものだった。
「「ビービービービー!!!」」
その音はレジェンドであるみんなが持っていた携帯のようなものから流れてきた。
慌ててみんな取り出して画面を見た。
「「レジェンドたちよ、久しぶりに大会を開催する!明日のいつもの時間にいつもの場所で会おう。チームメンバーは送ってあるので各自確認をしてくれたまえ。では、明日会おう!!」」
それは一方的に言うとプチッと切れた。
「APEXが…」
「クリプト?」
「クリプちゃん、どうするよ…あの擬似世界に俺たち行かなくちゃ行けなくなったぞ?」
「しかも、レジェンド全員に来てるわ」
「分かってる」
何かを焦ってるようにも見えるが、クリプトは思考を巡らせている。
手にはルービックキューブがかしょかしょと動いている。
恐らく、僕をどうするのかを考えているのだと思う。
1人にした時に何が起こるかわからないことを懸念してるのだろう。
まぁ、何度も死のうとしたしそりゃ心配にもなるよなぁと呑気に考えていた。
「クリプト、行っておいでよ。僕は大丈夫だから」
「…その、お前の大丈夫が信じられない」
ゔ…そこは信用してくれてる訳では無いことにショック。
「まぁ、そりゃそうだよなぁ」
「翠逢、いい?人に信頼されたいならそれなりの行動を取らないとダメよ?」
なんだかお父さんとお母さんに言われてるような…。
そんな両親はいなかったけども…。
「とにかく、翠逢を1人にすることは出来ない」
そう、クリプトが告げた瞬間警報機のようなものが響いた。
クリプトは慌ててドローンに接続した。
「翠逢ちゃん、こっちに」
そう言われレイスと共にキッチンの奥へと案内された。
そこで静かにするようにと、何があっても動かず声も出さないようにと言われた。
「さっきの警報機はワットソンとミラージュで作り上げた罠なの。もし、向こう側の人間がこちらに来た時必ず通るところに設置してある。クリプトのドローンで確認も取れるようになってるわ」
「向こう側の、人間…」
「クリプトがもしもの時にと作ってたのよ」
ミラージュがカウンターからウィンクをひとつしてクリプトと話し始めた。
何も無かったようにみんなも行動し始める。
少しするとドアが勢いよく開け聞き覚えのある声がした。
「おい、レジェンドども!」
プライドが高く人のことをいつも下に見る言い方、態度。
あぁ、変わらない。
「おいおい、誰だぁ?貴様は?」
ヒューズが壊したドアを持ち上げながらその男に言う。
「あんたみたいなおっさんもレジェンドなのか?APEXは本当に大丈夫なのか?」
「人それぞれ理由があって参加してるわ。覚悟は試合を見てくれれば分かるはずよ」
ローバが爪の手入れをしながら言う。
そんなローバを見て近づく。
「よく見たらいい女だな。」
「あら、どーも」
「お前、俺の女にしてやってもいいぞ?」
「はぁ?」
「ちょっと待ちな。その話はあたし抜きではしないで貰おうか?」
相変らずの好き勝手ぶりにイライラし始める。
こんな奴が…。
「翠逢、落ち着いて」
レイスは耳元で小さくつぶやき抱きしめる。
この温もりは守らなくて…。
「ちっ、まぁいい。戦いは明日見せてもらう。そういう約束したからな!」
「約束ねぇ」
ドローンをいじってるのかと思いきや話は聞いてたようで小さく不満げに呟く、クリプトが居た。
「約束なんかしなくても金さえ払ってくれればいつでも迎えに行ってやるぜ?まぁ、お前の金でだけど」
ミラージュも守銭奴プリを出しつつ大きなジェスチャーをする。
それを気に入らないのかその男は2人の前にやってくる。
ジロジロと見たかと思えば笑う。
「こんなのもレジェンドだって?本当に大丈夫なのか?」
「少なくともAPEXで金を稼いでる。どこのどちらさんかは知らないがあまり首を突っ込まないで貰おう」
クリプトは男を見ずに相変らずタイピングをしてドローンを見てる。
いや、クリプトはその男を知っていたから見なかった。
今は穏便に済ませて帰ってもらわなくてはならない。
「貴様…俺が誰か知らないというのか!!!」
「残念ながら…」
そんなクリプトの声に周りのレジェンドたちも「知らない」という言葉を口にした。
ザワザワとなる中遅れて別の男がきた。
「兄さん!勝手な行動はダメだって!」
クリプトはドローン越しに確認した。
現在その男はこの勝手にする男の弟であることを。
「スバル…こういうのはちゃんと自分の目で見ておかないといけないもんなんだ。」
「だからって向こうの人もすごく心配してたよ」
向こうの人…。
このまま連れて帰ってくれればよしだが、男はクリプトとミラージュが気に入らないのか突っかかってくる。
「そういえばあんたらはずっとその立ち位置だな。その奥にでも見つけられたくないものでも隠してるのか?」
唐突の疑い。
翠逢はゴクリと唾を飲む。
気づかれてしまったら…。
「厨房があるだけだよ。まぁ、大事な大事な食料があるから勝手にはいられるのは困るがなぁ」
「おい、中を見せてみろ」
「入ったところで肉や野菜と酒があるだけだ。そんな無意味なことをするのか、あんた?」
「ちっ」
クリプトの嫌味にその男はカウンターの中に入り中を除く。
見えていないのか翠逢とレイスには気が付かない。
「兄さん!」
「湿気たとこだ。明日の試合を楽しみにしてるぞ、レジェンド」
荒らすだけ荒らして2人は帰って行った。
ギュッと握りしめた手から血が流れていた翠逢以外は被害はなかった。
ライフラインが直ぐに治療をしてくれたが、今後どうなるかは予想がつかない。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。