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第4話

見てはいけないはずの[夢]
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2024/01/29 10:00
本居 佐連
んまぁ大体こんな感じかな
飴乃 詩菜
広すぎでしょ…
あ、どうも、勘違いで思いっきり土下座をかました後、色々あって施設内を案内してもらいました。
因みにこの、外来者対策監視施設…だっけ?は、大穴の外…まぁ私みたいな人がここに来たときとか、曰く都市の外に出た魔族の本人確認が取れるまでに色々してもらえる場所らしいんだけど。
実は割と設備が整ってた。
一覧にするとこんな感じ。
食堂···その名の通り食事をとることができる。メニューは日替わり。
運動場···250mトラックや、ボール投げ用のスペースもあったりと、様々な運動ができる。フリースペースで鬼ごっこしてる人たちがいた。(誰得?)
魔力復帰室···この都市の外に出たときに魔力とやらを失う魔族がいるらしい。そういう人たちに魔力が戻るように訓練する場所。
個室···自分の個室。予めいくつか服がしまわれてるクローゼット、ベット、引き出しのある机、テレビが置いてある。
談話室···夏は冷房、冬は暖房が効いている他者との交流施設。月曜の午後4時からはゲーム大会が開催される。
監視室···カメラとかのセキュリティが揃っている部屋。因みに入れてもらえなかった。
お風呂···あったかいお風呂。8時頃が一番混む。
貸出所···タオルとかの日用品から、ゲームまで貸してもらえる貸出所。
附属病院···曰く治療や記憶処理を行う病院。重症すぎた場合別の病院へ。
うん。ほんっとうに広い。
因みに道中ですれ違った魔族さんたちが、本居さんを「彼女さんか〜?」ってめっちゃからかってた。
割と面白かった。
…でも彼女扱いはほんのちょびっと嬉しかった。
いやだってイケメンなんだもん。しょうがないじゃん。
おっと話がそれたね。あとルールがあるんだ。
個室からでていいのは朝の6時から。個室に戻らなければいけないのは10時までで、それと同時に個室以外が消灯。個室は12時消灯。
施設の使用時間は9:45まで。
フリースペースからゲームを個室に持ち込むのはだめで、きちんと貸出所で貸し出されたものにしなければならない。
連絡先の交換はOK。そのまま恋に落ちるもOK。(まぁ無縁だけど)
防衛隊志望の人は、試験に最大3回落ちるまでここにいてもいいらしい。
他にも細々としたルールはあるけどまぁ気にしなくてもいいかな。
本居 佐連
そろそろ食堂行ったら?まぁまぁ混むよ?
ちなみに今の時間は7時くらい。確かに混むな。
飴乃 詩菜
それじゃ行ってきます
そう言って私は食堂へと全速力で走っていった。
飴乃 詩菜
ハァ…ハァ…危ないセーフ…
時間的にもとんでもなく混んでるわけではなく、ちょっと並べば貰えそうだ。
そう思うと私はお盆を取って列に並んだ。
飴乃 詩菜
あ〜、気持ちよかったぁ〜
私は満足した顔でベットに飛び乗る。
全然固くない。快適に寝れるなぁ。
ご飯も美味しかったしお風呂も気持ちよかったし、満足満足。
飴乃 詩菜
にしても…ほんとに疲れたな…
…正直、友達が目の前で死んだとか。考えたくもなかった。
だが、こうしてベットに潜って頭がまっさらになると、改めて考えてしまう。
飴乃 詩菜
いやだ…なぁ
…あれ?
…何故だろう。知っている気がした。
何故だろう。わかっている気がした。
何故だろう。
















友達を失った喪失感を、一度味わったことのあるような気がした。
















どこにもないよ。失うものなんて。












失って悲しむものも。どこにも。
飴乃 詩菜
あれ…?
ぼんやりとした感覚。
活性化していない脳が、この状況にはてなを量産する。
…眠い。眠い。
少しづつ視界がはっきりして、この場所が友達が死んだ通路であることを理解する。
飴乃 詩菜
あッ…!?
なんで。なんで。なんで…。
なんで、ここに来なければ…






「詩菜ちゃん!」
飴乃 詩菜
…っあ…?
よく知る声。もう聞けない声が響く。
聞いてしまっては、いけないはずなのに。
思い出したら、苦しむのに…。



…いや、違う。
『彼女たちは死んでない。』
『だって、ほら。声、聞こえてきてるじゃん。』
『そうだ。全部、全部夢なんだ…。』
夢…夢…夢…。
一般的少年
逃げんなよ。ばーか
飴乃 詩菜
え?
不意に発された一言。
一般的少年
俺等は死んだ。お前は生きてる。
一般的少年
そういうことだよ。受け止めろよ。
鋭く突かれた、一点の事実。
酷く残酷で、理不尽で。
飴乃 詩菜
…ああ…なんで…
飴乃 詩菜
いやだ…
飴乃 詩菜
いやだいやだいやだいやだいやだいやだ!逃げたい逃げたい!
飴乃 詩菜
現実から!友達の死から!
飴乃 詩菜
受け入れたくない!こんな理不尽を!
飴乃 詩菜
なんで!なんで…
飴乃 詩菜
『…なんで、私がこんな目に?』
脱力しながらも呟いた言葉が、ナニカと重なって響いていく。
せきを切ったように溢れ出したソレは。
私の目に光る小さな結晶は。
ただ、行く先もなく。溢れていくんだ。
…でも、それを包むように。
それを受け止めるように。
誰かの温かみを感じた。
一般的少女
ふふっ…逆…だね?
飴乃 詩菜
あ、あ、あ…
何かと重なる貴方の笑み。
さっきから、さっきから。
私は、何と何を重ねているんだろう。
いや、そんなことは今は関係ない。
今は知らなくてもいい。
飴乃 詩菜
ねぇ…私…どうしたらいいの?
一般的少女
私から言えることじゃないんだけどなぁ…
一般的少女
でも、詩菜が知りたいなら。特別だよ?
いたずらっ子が口止めをするように、自分の口に手を当てる。















一般的少女
捜しに来てよ。私のこと。

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