楽しい時間は過ぎていった。
ハナはヒロミの仲間や友人達と
すっかり仲良くなり、溶け込んでいた。
誰とでもすぐ仲良くなれて
ハナがいるだけでその場はパッと明るくなり、
笑いに満ち溢れていた。
さり気なくハナを呼び、
あっちいこうとヒロミは指差した。
レイカはそのやり取りを見ていた。
みんなから少し離れ、
二人で海辺の波打ち際を歩いた。
ヒロミがそっとハナの手を取って
指を絡ませた。
ハナはヒロミを見てニコッと微笑み、
ヒロミは少し照れたように軽く笑った。
ヒロミは笑った。
自分のすごさを分かっていないハナが
可愛く思えたからだ。
ヒロミは"???"になっているハナの頭を
くしゃくしゃっと撫でた。
やめて〜と言いながらヒナは喜んでいた。
真っ赤な夕日がゆっくりと
沈んでいくところだった。
この日の夕日は格別に綺麗で
とても幻想的だった。
そう言って嬉しそうに振り向いた
ハナの笑顔が夕日に照らされ、
ヒロミはドキッとした。
涙をいっぱい溜めて
笑顔で話すハナがとても愛おしかった。
自分と出逢うまで
ハナがコウキといい関係を築いていたことも
ヒロミは知っていた。
ハナはコウキが大好きだった事も知っていた。
だから、いま、
ヒロミが好きだと涙を流すハナの気持ちが
ヒロミには痛いほどよく分かった。
ヒロミはハナの涙を拭い優しく抱きしめた。
沈む夕日を背に
二人は熱いkissをした。
二人を照らす夕日はだんだんと沈んで行き
やがて地平線に彼方に消えて行った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。