第32話

 ax × jh 愛の飽和点
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2026/06/13 13:27 更新



 ハオヒョンの 、あのどこか他人を寄せ付けないような

 それでいて無自覚に人を惹きつけてしまう空気が

 昔から嫌いだった 。

 嫌いすぎて 、いっそ壊してしまいたいとさえ思う


 彼が誰かと笑い合っているのを見るだけで

 胸の奥がどろりと濁った熱を帯びる


 隣に立つのが俺以外の誰かである必要なんて

 どこにもないはずなのに

アンシン 
アンシン 
 .. ハオヒョン 


 控え室の隅 、鏡の前で身支度を整える彼の背中に声をかける

 振り返った瞳はいつものように凪いでいて

 俺だけを映しているわけじゃない

 ジアハオ
 ジアハオ
 アンシニ ? 
 どうしたの 、そんなに怖い顔をして 


 ハオヒョンがわずかに首を傾げる

 その拍子にさらりと流れた髪に 、

 指を滑らせたい衝動を抑え込む


 俺は歩み寄り 、彼の肩を抱き寄せた

アンシン 
アンシン 
 さっき外でスタッフと話してましたよね
 ジアハオ
 ジアハオ
 ああ 、次のスケジュールの確認をしていただけだよ 
 ジアハオ
 ジアハオ
 それが何か ? 
アンシン 
アンシン 
 …. 笑ってた 
 ジアハオ
 ジアハオ
 仕事なんだから当然だろう 


 当たり前のことを言うように彼は淡々と返す

 その「 当たり前 」が俺を狂わせる 。


 俺に見せる笑顔と 、赤の他人に見せる営業用の笑み .


 たとえ質が違ったとしても

 彼から溢れる光を誰かに分け与えているという事実が

 俺の独占欲を鋭く逆なでする


 俺は彼の腰に腕を回し 、ぐいと自分の方へ引き寄せた

 ハオヒョンの体が俺の体温に重なる

アンシン 
アンシン 
 ヒョンの笑顔も声も視線も … 
 全部俺だけのものです
アンシン 
アンシン 
 他の奴に一欠片だってやりたくない 


 耳元で囁くと 、ヒョンは困ったように眉を下げた

 だが拒絶はしない 。

 それが彼の優しさであり 、俺を増長させる毒でもある

 ジアハオ
 ジアハオ
 アンシニ 。アンシニの愛は …… 
 時々重すぎるよ
アンシン 
アンシン 
 重くて結構です 
アンシン 
アンシン 
 ヒョンが逃げ出せないくらい
 雁字搦めにしてやりたいんです 


 俺は彼の首筋に顔を埋め 、深く息を吸い込んだ


 彼から漂う清潔な石鹸の香りと微かな体温 .


 これが俺だけの聖域

アンシン 
アンシン 
 いいですか 、ハオヒョン 。
アンシン 
アンシン 
 ヒョンを愛してるのは俺です 
アンシン 
アンシン 
 ヒョンを1番理解してるのも
 ヒョンのすべてを欲しがっているのも俺だけです 
アンシン 
アンシン 
 他の誰も 、
 ヒョンを俺ほど大切にはできない 


 呪文のように何度も何度も言い聞かせる


 彼の意識のすべてを俺で塗りつぶしたい 。

 彼が眠る時も 、起きている時も 、

 その思考の端々に俺がいなければ気が済まない


 ヒョンが細い指先で俺の背中に触れた

 ジアハオ
 ジアハオ
 わかっているよ 
 ジアハオ
 ジアハオ
 俺の側にはいつも君がいる 


 その言葉に 、わずかな安堵とそれ以上の飢えを感じる


 足りない 。


 どれだけ抱きしめても 、どれだけ言葉を尽くしても 、

 彼という存在のすべてを飲み込めた気がしない


 俺は彼の顎を掬い上げ強引に唇を重ねた

 酸素を奪うような深いキス .

 彼が苦しげに吐息を漏らすたび 、歪んだ悦びが脳を焼く

アンシン 
アンシン 
 ねえハオヒョン 
アンシン 
アンシン 
 いっそヒョンをどこか遠く 、
 俺しか知らない場所に閉じ込めてしまえたらいいのに 


 冗談めかして言ったつもりだったが

 俺の目は笑っていなかっただろう 。

 ヒョンはは一瞬だけ目を見開いたが

 すぐに諦めたような微笑を浮かべた

 ジアハオ
 ジアハオ
 アンシニなら本当にやりかねないな 
アンシン 
アンシン 
 はい 、本気です 
アンシン 
アンシン 
 ヒョンが俺以外の誰かに触れられるくらいなら 、俺の手で … 


 そこから先は言わなかった .

 言う必要がなかった .


 ヒョンは俺の重すぎる愛を 、

 重いと知りながら受け入れている

 その受容が俺をさらに深い執着へと引きずり込んでいく

アンシン 
アンシン 
 愛してます 、ハオヒョン 
アンシン 
アンシン 
 ヒョンのすべてを俺に捧げて 


 俺の独占欲はきっと一生満たされることはない 。

 彼が俺の隣にいる限り

 俺はこの渇きに突き動かされ 、彼を愛し 、

 縛り続けていくだけだ


 彼を閉じ込める檻は俺の腕の中だけでいい 。
 彼を繋ぎ止める鎖は俺の愛だけでいい 。



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