ハオヒョンの 、あのどこか他人を寄せ付けないような
それでいて無自覚に人を惹きつけてしまう空気が
昔から嫌いだった 。
嫌いすぎて 、いっそ壊してしまいたいとさえ思う
彼が誰かと笑い合っているのを見るだけで
胸の奥がどろりと濁った熱を帯びる
隣に立つのが俺以外の誰かである必要なんて
どこにもないはずなのに
控え室の隅 、鏡の前で身支度を整える彼の背中に声をかける
振り返った瞳はいつものように凪いでいて
俺だけを映しているわけじゃない
ハオヒョンがわずかに首を傾げる
その拍子にさらりと流れた髪に 、
指を滑らせたい衝動を抑え込む
俺は歩み寄り 、彼の肩を抱き寄せた
当たり前のことを言うように彼は淡々と返す
その「 当たり前 」が俺を狂わせる 。
俺に見せる笑顔と 、赤の他人に見せる営業用の笑み .
たとえ質が違ったとしても
彼から溢れる光を誰かに分け与えているという事実が
俺の独占欲を鋭く逆なでする
俺は彼の腰に腕を回し 、ぐいと自分の方へ引き寄せた
ハオヒョンの体が俺の体温に重なる
耳元で囁くと 、ヒョンは困ったように眉を下げた
だが拒絶はしない 。
それが彼の優しさであり 、俺を増長させる毒でもある
俺は彼の首筋に顔を埋め 、深く息を吸い込んだ
彼から漂う清潔な石鹸の香りと微かな体温 .
これが俺だけの聖域
呪文のように何度も何度も言い聞かせる
彼の意識のすべてを俺で塗りつぶしたい 。
彼が眠る時も 、起きている時も 、
その思考の端々に俺がいなければ気が済まない
ヒョンが細い指先で俺の背中に触れた
その言葉に 、わずかな安堵とそれ以上の飢えを感じる
足りない 。
どれだけ抱きしめても 、どれだけ言葉を尽くしても 、
彼という存在のすべてを飲み込めた気がしない
俺は彼の顎を掬い上げ強引に唇を重ねた
酸素を奪うような深いキス .
彼が苦しげに吐息を漏らすたび 、歪んだ悦びが脳を焼く
冗談めかして言ったつもりだったが
俺の目は笑っていなかっただろう 。
ヒョンはは一瞬だけ目を見開いたが
すぐに諦めたような微笑を浮かべた
そこから先は言わなかった .
言う必要がなかった .
ヒョンは俺の重すぎる愛を 、
重いと知りながら受け入れている
その受容が俺をさらに深い執着へと引きずり込んでいく
俺の独占欲はきっと一生満たされることはない 。
彼が俺の隣にいる限り
俺はこの渇きに突き動かされ 、彼を愛し 、
縛り続けていくだけだ
彼を閉じ込める檻は俺の腕の中だけでいい 。
彼を繋ぎ止める鎖は俺の愛だけでいい 。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。