先程、桜のお腹から大きい音が聞こえた。
これは私のご飯を振る舞うチャンスだ。
キッチンに行き、冷蔵庫に食材が揃っているか確認する。
卵、人参、ピーマン、玉ねぎ、ケチャップ
これでなにを作りたいかは分かるだろう。
桜の大好物のあれを。
そわそわしながら、こちらをたまに見てくる彼に、
可愛さで悶えるのは心の中だけにしておこう。
手際よく作り進め、本体を完成させた。
ケチャップでなにか書こうと思ったが、、、
引かれたら嫌なので普通にかけた。
…黙っちゃいました。これやっちゃった?
カウンター席で級長組と楽しく食べてたのを思いだして、
この現状が辛くなったとか??
だとしたら私が悪いですね。ほんとマジでごめんなさい。
寂しげな様子でそう言い、スプーンを手に取って、
静かにオムライスを食べ始めた。
持ち方が独特で、本来なら行儀が悪いと
世間から言われるだろうけど、私は言わない。
なぜそんな赤面になって、そんな可愛いことを言うのだろう。
殺す気なのか?死因は尊死か?
いつも台パンして悶えるのを堪えているのだが、
桜を目の前にしてそんなことできない。
黙々と食べ続けるのを、横で座りながら見ていた。
食べっぷりが凄い良いからつい見入ってしまうのだけれど、
桜は顔を赤くして、見んじゃねぇ!!///
なんて威嚇をしてくる。
そんな彼が愛おしくて微笑んだら、
そっぽ向きながらオムライスを食べてしまった。
耳を真っ赤にしているもんだから、
ついちょっかいかけたくなる。
食器を洗った後、桜の向かい側に座り、
今後どうするのかを話し合うことにした。
私の言葉に流され、桜は戸惑いながらもスマを渡してくれた。
これから一緒に生活するにあたって必要なことなのだが、
知らない人に騙され、連絡先を教えてしまわないか、
結構不安だ。
私みたいに下心(ほんの少しだけどね)
があって狙ってくる人もいるかもしれないから。
まさかのナイト宣言。
やはり推しはどこまでも尊い。
しょんぼりとした様子で俯く彼に、
また私の心臓が砕かれる音がした。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。