「鬼車は、意思を持つ剣なんだ。だから、使う時に
とある呪文を唱えると、鬼車っていう神様が
出てきて、使う人の意志を乗っ取る。
それで、目の色が変わるんだよ。」
「じゃあ、命とかはあんまり関係無いってこと?
ってかそしたら、艦ちゃん違う事言ってるじゃん」
「そ、そうだね、艦さんはちょっと違う解釈
してるかも。でも命は…………少し関係あるかな」
「は?え?どういうこと?」
「鬼車は元々、普通に鬼だったんだよ。神様とか
じゃなかった。でもある時、剣を使うための
魔力、まあ糧みたいにされて。剣に取り込まれても
良いけど、使う者の命を自分の生きる源にしてくれ
って条件を出して、剣に宿る神になったんだ。」
「…………つまり?」
「俺は、"鬼車"の力を使う度に、命………寿命を
使ってる。」
「鋼の寿命が減っていってるってこと?」
「…………認めたくなかったけど、そういう事。」
「…………なんで言ってくれなかったの」
「言いたくなかった。もうすぐ自分が死ぬって
いうことを自覚しなきゃいけないみたいで。」
「…………でも俺嬉しいよ。鋼本人から、
その話を聞けたから。」
「じゃあこれで最後の質問。鋼本人は、
あとどれ位生きれるの?」
「今、18歳だろ?…………あと10年位かな」
「短っ。
んじゃ俺も、その時に鋼と心中しようかな。」
「やめろよ。」
「本当はもっと生きたかったけど、仕方ないよね」
「……………でも、あと10年もあるって考えれば、
苦じゃ無くない?」
「ねえ、翔。俺の名前の由来、言ったことあるっけ」
「俺の名前の鋼はね、鋼みたいに強くっていう意味なの。
滝焔は、滝みたいに強く、灯火みたいに慎重に
生きるっていう意味があるんだ。」
「え、でも、鋼は名字なんじゃ…………」
「本当の名字じゃないんだ。本当の名字は、車。
車 滝焔。」
「お前、隠し事多すぎ…………」
「ははっ」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。