第9話

鬼車のこと
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2023/03/01 09:17
「………………何となく分かった?翔ちゃん。」


「…………うん、ありがとう、艦ちゃん」


「ん、まあ詳しい事は僕もあんまり知らないから、
本人に聞くと良いよ




















特に"鬼車"に関しては、ね。」
「ねえ、鋼」


「ん、なに」


鋼は、月猫さんが帰ってくると聞いて、明らかに
不機嫌だ。もう艦ちゃんも帰っちゃったし…………


っんま、いっか

「艦ちゃんから鋼の事、全部じゃないけど聞いた。」


「…………!………そっか。」


「………"鬼車"のことも、少し。」


「!なんて聞いた?」


「自分で命を吹き込んで、剣と自分を一体化
させて使う、みたいな…………」


「………あー、合ってるけど、ちょっと違う。」
「鬼車は、意思を持つ剣なんだ。だから、使う時に 
とある呪文を唱えると、鬼車っていう神様が
出てきて、使う人の意志を乗っ取る。
それで、目の色が変わるんだよ。」


「じゃあ、命とかはあんまり関係無いってこと?
ってかそしたら、艦ちゃん違う事言ってるじゃん」


「そ、そうだね、艦さんはちょっと違う解釈
してるかも。でも命は…………少し関係あるかな」


「は?え?どういうこと?」


「鬼車は元々、普通に鬼だったんだよ。神様とか
じゃなかった。でもある時、剣を使うための
魔力、まあ糧みたいにされて。剣に取り込まれても
良いけど、使う者の命を自分の生きる源にしてくれ
って条件を出して、剣に宿る意志になったんだ。」


「…………つまり?」


「俺は、"鬼車"の力を使う度に、命………寿命を
使ってる。」


「鋼の寿命が減っていってるってこと?」


「…………認めたくなかったけど、そういう事。」


「…………なんで言ってくれなかったの」


「言いたくなかった。もうすぐ自分が死ぬって
いうことを自覚しなきゃいけないみたいで。」


「…………でも俺嬉しいよ。鋼本人から、
その話を聞けたから。」


「じゃあこれで最後の質問。鋼本人は、
あとどれ位生きれるの?」


「今、18歳だろ?…………あと10年位かな」


「短っ。
んじゃ俺も、その時に鋼と心中しようかな。」


「やめろよ。」


「本当はもっと生きたかったけど、仕方ないよね」


「……………でも、あと10年もあるって考えれば、
苦じゃ無くない?」


「ねえ、翔。俺の名前の由来、言ったことあるっけ」


「俺の名前の鋼はね、鋼みたいに強くっていう意味なの。
滝焔は、滝みたいに強く、灯火みたいに慎重に
生きるっていう意味があるんだ。」


「え、でも、鋼は名字なんじゃ…………」



「本当の名字じゃないんだ。本当の名字は、シャハク
車 滝焔シャハク ソウエン。」


「お前、隠し事多すぎ…………」


「ははっ」

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