第8話

星と火
23
2023/02/27 13:20
手紙を読んだ鋼は、どちらにせよ自分の親は
もう居ないということを、その歳でよく理解した。
その時の鋼は14歳。見捨てられ、盗みを犯した
という経験から、金を貰えるような仕事を見つけても、
働く事は出来なかった。
今行く宛てもなく、只朝早くに家を出てはものを盗み、
逃げながら敵を撒いて家に帰って来る。そんな
生活を繰り返し、繰り返し続けていたある日。
商店街の裏路地でうずくまっている子供を見つけた。


"「この先、困って居る子が鋼の前に1人でも
現れたら、必ず助けてあげること。
…………………………例えそれが、青い目を
している子でも、よ。」"
鋼は、母親から言われた事を何年ぶりかに思い出した。

"困っていたら助ける"

鋼が見たその子は、瀕死状態な訳でも無く、
自分に縋って「助けて」と声を上げてもがいていた
訳でもなかった。だけど鋼は悲しそうな灰色の
目をしているその子を、放っておけなかった。





「ねえ、君。どうしたの、そんな狭い所に蹲って」


「…………翔。碧 翔。親はいない。1人。お前も1人?
俺も一緒にいきたい。」


友達になろうとか、一緒に行こうとか、仲間にする
とか言ったわけでも無いのに、名前や生い立ちを
唐突に言われたもんだから、少し驚いた。



「…………え、うん……………いいけど……………………」


「俺、碧 翔。お前は?」


「あ、あ、鋼 滝焔コウ ソウエン
俺も親は………………………、大分前に居なくなった。」
「へえ、そうなんだ。
じゃあ俺たち、似た者同士、だね。」

「うん。」


その子は、綺麗な白髪に、灰色の目をしていた。






「艦さん、おはよう。今日やる事ある?少しでも
お金になるんだったら、何でも
やりたいんだけど。」


「はいはい、そう言われると思って、用意
しといたよ…………………………って、その子誰!?
新しい仲間?人質!?はっ……………まさか、
隠し子……………!?」



「んなわけ無いだろ。だいたい、俺何歳だと
思ってんだよ。この歳で隠し子なんていたら、
大問題だわ」



「あ………………、スイマセン。結局誰なの?その子。」


「碧 翔です。宜しくお願いします。」


「はえ〜、っこれまた随分綺麗な顔立ちで。」


「うん、新しい仲間だから。これからは
翔にも協力して貰おうと思ってる。」


「え、うん。ところでって言うのもおかしいけど、
その…………………翔くんは承諾してくれたの?」


「仲間にしてくれた時点で、何でもやります。
承諾も何も無いです。どうせ僕も、只の
親無しだし。」


「え、あ、そう……………」


「んで、艦さん。仕事は?あるの?」


「う、うん、これ。じゃあ翔く……………いや!翔ちゃん!」


「(びくっ)」


「初仕事頑張ってね!それじゃ!」






これが、鋼と翔の出会い。



次いでに論 艦栄ロン カンエイ(僕)も、ね!

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