第4話

蘇枋隼飛__まちがい①
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2024/07/01 12:11
『うん、いいと思う!』



そう一言発したら、心なしか彼の顔は暗くなった。

わたしはこんなにも寒い冬に、冷や汗をかいている。


蘇「…そうだね」


間があって、そう返された。
私たち、もう終わりなのかもね。



わたしいつからか、あなたに嫌われたくなくて、イエスしか言えなくなってた。


あなたのこと、否定できなくなってた。




こんなことになるなんて、あの時は思ってなかった。
『蘇枋くん、来ちゃった』

待ちきれなくって風鈴高校の前まで迎えに来てしまったわたし。

蘇枋くんは目を大きく開いて、それからふわりと笑った。

蘇「俺も早く会いたいなって思ってたとこだよ」

タッセルピアスが風に揺れて、ぐっと胸が高鳴った。


ーー

『あれ!?あれれれ!?蘇枋さーん!?もしかして〜!』


『照れてんのー!?!?!』

蘇「…そろそろ怒るよ」

口だけ達者な彼が面白くって愛おしくって。

赤く染まった耳を見て、思わずくすりと笑ってしまった。

ーー

『…もう、やだ……、最低、……』

かくかくしかじかで痴話喧嘩してしまった私たち。

それでも彼はこっちをちゃんと見つめてくれた。

蘇「…ごめんね…。」

泣きそうなわたしに謝ってくれる彼。
わたしだって悪いのに、彼はいつも率先して謝ってくれる。

そういうところがちゃんとできる素敵な人だ。

ーー

『ぃ、痛い、…』

蘇「はいこれ、あったかいココア。あとは」


蘇「今日はずっと隣にいるね」


生理痛でしんどいわたしに、ココアを買ってきてくれて、ずっと隣にいるって言ってくれた。

こんなことできる人、なかなかいないって知ってる。

わたしのことこんなに大切にしてくれる人、他にいないって、わかってる。
うまくいかなかった。

うまくいくわけなかった。

彼の優しさに甘えて、彼に嫌われないようにして。

そしたら途中で、お互い気がついてしまった。

本気で心から愛してないことに。


蘇枋隼飛という人にはわたしじゃだめだった。

ずっと、わたしじゃきっと勿体無かった…。

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