魘されて、夢から覚める。ここのところ毎日のように見ている、借金取りに脅される悪夢だった。悪夢から覚めた事を知らせる、窓の外から入る初夏の透き通った隙間風が、そよそよと心地よく汗をさらう。
今日は仕事がない。それで久しぶりに思い切り寝てみようと思ったが、やはりあの夢に睡眠を脅かされている。
俺の名前は悠祐。大学を卒業して間もない、一人暮らし中の…自分で言うのもなんやけど、初々しい社会人。
狭い借り部屋に置いた、ちょっぴり狭い布団に汗が染みている。
俺の家庭は決して裕福ではなかったから、無理を言って奨学金制度で大学にいったが、肝心の返済が全く追いついていない。
ここらの地域の家賃は少し高く、生活費を回すだけで精一杯。親に頼るにも、…もともと裕福であればこんな思いはしていない。よって、頼れる人間は少ない。
補助制度を導入しようにも、全額負担してくれる訳ではないのだ。
大学に行かなかったらもっともっと就活が不利になっただろうから、その点では少し感謝しているも、寝ても覚めても金の事を考えるのはやはり辛い。
どうにか平日は仕事、休日に日雇いの掛け持ちバイト…とぎゅうぎゅうにスケジュールを詰めているにもかかわらず、貯金までなどお金が回るわけがない。
精神がへとへとに疲れている。身体を奮い起こし、何か腹に入れようとキッチンへ向かう。
食費は必死に削っている。昨日スーパーで安かった野菜達を適当に塩で炒め、食べる。若干生だが、自分しか食べないから良いのだ。
紙コップに注いだ水を一気に喉に注ぎ込み、今日は夕方からバイトが入っていた記憶が薄っすらあるので、散歩にでも行く事にした。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。