🐠 " スキンシップの積み重ね
それは本当に些細なことだった
ノ ー トを回収しに来た
彼の髪を見て思った .
" 触れてみたい "
好奇心だったのか ,
また別の何かだったのか
なんて私には分からない
けれど私は彼の髪を撫でた .
その瞬間 , 彼は
一瞬キョトンとした顔で固まって
そしたらいつもの優しい顔に戻って
私の腕を掴んでくる .
優しい声だけど
どこか重い
口調はいつもと変わらないけど
はっきりと伝わる
拒まれた .
とっさに謝ると
彼は腕を離して机の上に
置いていたノ ー トを持って
少し大股で教室からでていった .
私はクラスの中心人物である彼に対して
きっと拒まれないという
よく分からない自信が
心のどこかにあったのかもしれない
彼のなにかから逃げるような背中をみて
" 本当に嫌だったんだ "
と胸がぎゅんと
締め付けられたように苦しくなる .
あの日から彼とは気まづくなったが ,
元々頻繁に話す仲でもなかったので
そのまま接点もないまま時間だけが流れる .
1 つ変化があるとすれば
私は前より彼を目で追う回数が
異常なほど増えた .
という先生の言葉に
私は密かにこのクラスの誰よりも
野心を燃やしていた .
なんとしてでもこの後ろの席を
死守したい
そう思い ,
くじ引きに神経を全集中させた結果
目の前には無慈悲なほど近い教卓
後ろにいるクラスメイトは
誰 1 人として見えず ,
見えるのは先生の姿くらい .
私はその状況に絶望して ,
机に突っ伏していた.
その時 , 後ろの方から
と言う声が聞こえた
これは逃していけないチャンス
私はその子の元へ駆け寄り ,
無事交渉を成立させた .
これで再び私の平穏な授業が戻ってくると
満足そうに席に着席した .
隣にはそんな私を見て
くすっと笑う イハン の姿があった .
拗ねたように話しかけると
彼は優しく笑いかけて言った .
くすくす笑っている顔が新鮮で
可愛らしくて彼が
クラスの中心にいる理由が
少し分かった気がした .














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。