昼休み
弁当を忘れたことに気づいて
しぶしぶ購買でパンを買うことにした .
廊下を歩いて 1 階に向かって階段をおりる
ちょうど曲がった辺りで
大きななにかとぶつかった
反射的に謝った
目を見てもう一度謝ろうと思い
顔を上げる
最悪だ
本当に私は運がない .
今 1 番会いたくない人に
会ってしまうのだから
なんとも言えない空気が嫌で
私は彼の横を通りすぎようとした
彼は私の腕を強く握って離さない
時間が経つにつれて私の腕を握る
彼の手の握力はどんどん強くなっていく
彼への気持ちが溢れだして
思わず言ってしまった一言
ほんとうにどの口が言っているのだろうか .
私の腕を握る彼の力よりも強い力で
精一杯彼の腕を振りきって
一言言う
振り払った腕はやっぱり赤い跡が
くっきりと残っていた .
テサン を見ると
目を開いて驚いたような顔をしていた
そっちが言ってきたことなのに
そんなに驚くことにだろうか
しゅんとした顔になって
私を強く抱きしめてそう言う テサン
時間が経つにつれ ,
力が強くなる
人目を気にせず愛を伝える
普段愛情表現なんて
微塵もしないあの テサン が
素直に愛情表現をしている
周りの目線がささる中 ,
彼だけの視界には世界が
切り抜かれたみたいに
私しか映っていなかった .
近くの空き教室に連れて
子供をあやすみたいに
テサン の背中を優しく撫でて
落ち着かせる
やっと離してくれた彼の腕
見上げると少し赤く目が腫れていて
いつものような面影は残っていない
彼はスマホを取り出し
私のト ー ク画面を見せる
未読のままつもりにつもった
メッセ ー ジと着信
予鈴がなるまで
お互いの鼓動の音を聞いて
愛を伝えあった .
予鈴がなると
お互いに手を繋いで廊下へ出た
少し照れながら答えると
テサン が自慢するように
繋いだ手を見せつける
今まで素直になれず甘えてくれなかった彼が
今では人が変わったように甘えてくれる
なんてじゃれあいは当たり前で
私よりもしつこくなった
🐈⬛ " 好きなわけじゃない _____ fin















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。