第7話

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2022/09/12 10:19
太宰治
取り敢えず訓練場へ行くから。来て

そう不機嫌そうに言うと、太宰さんは
私の耳を思いっ切り引っ張り出した。

太宰さんが耳を力強くつまんで引っ張ったせいで、
私の耳の何処かでピリッと言う音がした。


その途端激痛が走る。
あなた
いっっったぁぁぁ!?ちょっと太宰さん!!
あなた
痛いです!!それやめてください!!
太宰治
……あっそ。

私が必死で懇願するも、
太宰さんは私の意見を軽く受け流し、
さっきよりも強い力で耳を引っ張り、
ズカズカと早歩きで訓練場へ向かって行った。


それも耳を引っ張るだけで、
全身が引っ張られるくらいの強さで。
下手したらもげる。
あなた
というか!まだ早くないですか?
体術訓練確か二時間後ですよ!?

私がふと疑問に思った事を言うと、
太宰さんは一旦立ち止まった。
太宰治
何言ってんの?雑魚がノコノコと休憩している時間が何処にあるか。

太宰さんは物凄く低い声で返答し、
どす黒い雰囲気を纏い、今にも顔面に
拳が降りかかって来そうな勢いで私を睨んだ。


先程の不機嫌顔とは比べ物にならないくらい怖い。
あなた
え…えと……す、すみません……

私は流石に此処まで怒るとは思っていなかったもので、
想像以上に怖い反応に冷や汗をかきながら、
目を合わせない様に、出来るだけ下を向いて謝った。


だが此処で太宰さんを怒らせた儘にしておくと、
体術訓練の時に更に酷い仕打ちを受ける羽目になると
考えた私は、

今は出来るだけ太宰さんの機嫌を直そうと
めげずに勇気を出して話しかけた。
あなた
え、えと、あの…太宰さんお忙しいのでは……
太宰治
は?何言ってんの?今から訓練する人は私じゃないよ。私は二時間後ね。
あなた
は?
なんと今からの体術訓練の相手は
太宰さんでは無いらしい。


その意外な返答に
私はご機嫌取りの事をすっかり忘れ、
素っ頓狂な声を出してしまった。
あなた
え、太宰さんは……
太宰治
朝ご飯を食べるのだけれども。
あなた
じゃあお相手は……?
太宰治
行ったら分かる。

どうやら私が汗水垂らして
ボッコボコにされている間、
太宰さんは優雅に朝ご飯を食べる予定らしい。


しかも訓練相手を聞いても、
『行ったら分かる。』等とはぐらかされた。
あなた
はぁ……??
私は意味が分からなくて、
もう一度素っ頓狂な声を出してしまった。


私はその後も暫く太宰さんの話を聞いていたが、
色々と訳が分からな過ぎて、
私が太宰さんと話し終えた時には
もうすっかり耳の痛みは消え去っていた。

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