第27話

二十四話【独白と世界最強の意志】
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2026/01/18 13:26 更新
 花香の目が紅色に染まった。

 そう認識した次の瞬間には、また別の見知らぬ世界に居た。
シアーネ・ロンコフティ
なんなの……ここは…。
 地面を見れば水が張ってあり、一歩あるけば、コツンと音がした。まるで、ガラスの上を歩いているようだった。

 更に上に視線を向ければ、巨大な紅月が視界全体を覆うように鎮座していた。そして、月の中心には巨大な時空の歪みが発生している。

 ブラックホールと見紛うソレは、月の輪郭すら歪め、その存在を確固たるものにしていた。
月詠 花香
ようこそ、【冥運月星界】…その裏側へ。
 シアーネとは反対側に位置する場所に花香は居た。目は元に戻っている。
シアーネ・ロンコフティ
……。
 シアーネは答えない。
 そこから、無音の時間が続いた。

 それが、1秒なのか、1分なのか…はたまた1時間なのか、時間という概念から切り離されたように、刹那がいくつにも渡り、その場を支配した。
 どれだけ時間が経ったのか、シアーネは重い口を開いた。
シアーネ・ロンコフティ
私をここまで連れてきて、何がしたいの?
月詠 花香
何もしない、ただ…私が今から話すことを聞いてほしいだけ。
 シアーネが返答するよりも早く、花香は話し始める。
月詠 花香
今からする話は仲間と共有してくれて構わないわ…そして、この話は私しか知らない計画。
月詠 花香
【地球再創造計画】
月詠 花香
私はこの星を造り直す…全く別の運命を辿る世界として。
月詠 花香
この世界は壊れすぎた、“本来なら死んでいる筈の人物が生きている“みたいな感じにね、全ての始まりは月詠白鳳という存在のバグ。
月詠 花香
本来ならあの日、白鳳は死んでいた…けど、私はそれが許せず、運命を変え、白鳳の命を伸ばした……だけど、世界は変化を許さなかった。
月詠 花香
拭っても拭っても、白鳳には“死“という運命がへばりついている。
 花香は驚きと困惑に満ちたシアーネへ目線を合わせた。
月詠 花香
私は決心したの、この世界を変えてやるって、幸い私には世界を変えられるだけの力があった…後は、実行に移すだけ。
シアーネ・ロンコフティ
たとえそれが本当だとしても!それは_
月詠 花香
_ただの自己満足…分かってる、分かってるのよ…白鳳が死ぬ前に、私が“死“を拭えばいい…それが最善なのも。
シアーネ・ロンコフティ
なら…!!
月詠 花香
だけど!!!
 花香は溜め込んでいた感情を吐き出すかのように、苛立ちを叩きつけた。
シアーネ・ロンコフティ
…!
月詠 花香
私には……時間が無いの…!!
 その声は悲痛で、痛々しい。
月詠 花香
私はこの日の為だけに、あらゆるものを捨ててきた、私には戻る事もできない。
月詠 花香
……………これで話は終わり、シアーネ・ロンコフティ…あなたには全てを話した、後は…“アイツ“が助けてくれると思うわ、あぁ見えて、この世界を愛しているから。
シアーネ・ロンコフティ
(“アイツ“……?)
 シアーネがその言葉に疑問を持つよりも先に、この空間に来た時の感覚がシアーネを襲う。
月詠 花香
【月星の支配者が告ぐ_
シアーネ・ロンコフティ
!!、待っ……!
月詠 花香
_月刻げっこくの閉門を命じる】
 視界が暗転する直前、シアーネは見てしまった。
 花香の目から一筋の涙が流れ、水面に波紋を浮かせたのを。
 次にシアーネが目を覚ました場所は、あの民家だった。
 シアーネは、今起きた出来事について考えた。

 この異変の真の目的、花香の独白……だが、考えれば考える程、分からなくなっていく。
シアーネ・ロンコフティ
(…考えても仕方ないわ、残りの【暁闇】からも情報を貰いましょう)
シアーネ・ロンコフティ
(絶対に、あのまま計画を進ませない…!それが、たとえ残酷な結果になるとしても!)
シアーネ・ロンコフティ
…どれだけ時間が経ったのかしら、まずはバハート隊長を探さないとね。
 シアーネがバハートを見つけようとオーラを使った瞬間、ゾクリと背筋が凍った。
 だが、それも直ぐに収まる。
シアーネ・ロンコフティ
……なんだったの?
_同時刻_月刻の間
 花香は赤い空を見上げ、息を吐き出す。気持ちを落ち着かせるように。

 そして、意を決したように、門を前にして言った。
月詠 花香
【月刻・獄変刹陣】
 巨大なドラゴンのような生物を従えたその姿は、圧倒的強者として、その場に君臨していた。
月詠 花香
さぁ、命を刈り尽くせ。
 その一言が合図かのように、生み出された怪物達はブラックホールのような裏門から現世に降臨している紅月の表門を通り、地上へと舞い降りる。
月詠 花香
(月界生物が役目を終えるまで、私は私のことをやろう)
月詠 花香
(シアーネから拝借した悪魔を使ってね)
月詠 花香
(この悪魔を手中に納めるために、二度もシアーネと対談したんだから)
月詠 花香
(…だけど、それが理由だとしても、あの話は嘘じゃない……全て私の本心、厄介なことに、この空間は真実だけを許可する)
月詠 花香
(…ツクヨミは嘘を嫌っていたからね、ツクヨミの神域らしいっちゃらしいね)
月詠 花香
…最後の仕上げに取り掛かりましょうか。
 約10年以上にも及ぶ花香の計画__

 その最後の段階が始まった。

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