あなた Side
駿くんのクラスの扉を開けた時、
ちょっと嫌な予感はしてた
でも、私を選んでくれると思った
なんで?
私、なにかしちゃったのかな
だって駿くんはいつも私と帰ってたから
その日から、私は駿くんと会うのが怖くなっていった
こういう時だけ、きょーくんって鋭いんだよね
でも、心配かけたくない
そして私は、昼休みまで教室に戻ることは無かった
昼休みの間、ベッドに寝ていると、
ガラガラガラ
誰かが入ってきた
その声が聞き覚えのある声で、
私がずっと聞きたかった声だった
なんで、今なの、
会いたいけど、今は会いたくないよ
先生「あそこのベッドに寝てるわよ
私一旦職員室行くから、起こさないようにね」
ちょ、待って
なんで今のタイミング、
先生が出ていく音が聞こえた後、
静かに、ただ私の方へ向かってくる足音だけが響いた
来ないで、来ないでよ
カーテンが開く直前に私は目をつぶった
そう言うと、近くの椅子が私の真横に来る音がした
そして、そっと手を握られた
少し悲しそうな声でそう言った
違うよ、私は、駿くんが怖くて、
逃げちゃっただけなのに、、
そう思った時、
唇に柔らかい感触を感じた
この感触には覚えがある
駿くんの優しいキス
涙が出そうだった
私の額を、駿くんの額と合わせて、
少し震えた声で、
そうして、また私にキスを落とした
カーテンの音がして、出ていく音が聞こえた直後
私は目を開けた
彼が愛おしくてたまらなかった
私にはもう彼を信じて待つ以外の選択肢が無かった
駿くんの言葉を信じたい
だって私は駿くんの彼女だから
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。