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第11話

【第十章】蝶の名前
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2025/07/02 05:32 更新
夏樹が倒れてから、教室は沈黙に包まれたままだった。
誰もが息をひそめ、私を見る目は疑念と恐怖に満ちていた。

だが、私は冷静だった。感情の起伏が乏しい私にとって、彼の死はただの事実に過ぎなかった。

私は教室の隅に置かれた鏡を見た。
そこに映る自分の目は、まるで冷たい蝶の羽のように輝いていた。

あの夜、私は初めて「名前」を持つことを決めた。

人は名前に宿る力を知らない。
名前はただの記号じゃない。存在の証明であり、運命の鎖。

私は、この檻の中で自由に羽ばたく蝶。
だが、同時に囚われの身。

誰にも気づかれないまま、私はこの舞台の中心に立っている。

これが私の本当の名前──

北条凛子。

そう、自分自身に与えた名前だ。

誰も知らない私の本質を封じるために。

私の冷たく計算された殺意。
それは、まるで蝶の羽ばたきが引き起こす嵐のように静かに、しかし確実に世界を壊す。

クラス全員を葬った後、私の物語はまだ終わっていない。
この名前と共に、新たな幕が上がる。

私が選んだ名前は、呪縛でもあり、解放でもあった。

誰も知らない真実の私を、この檻の中で生き続ける蝶として、私は受け入れた。

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