第39話

‪☆  35  /  褪せた 遊園地 と 君
212
2026/01/10 14:32 更新















  私 達 が 死ぬ 予定 の 前日 

  私 は 学校 を サボって 燈矢 と 一緒 に いる 。




  昼 の 太陽 が ぎら ぎら と 照り つける 中 、

  雑草 が 生い 茂った アスファルト の 上 を 歩く 。




  そこ は もう 誰 も 来る こと の ない 色 を 失った 遊園地 だった 。






あなた
  なんか 不気味 ..  







  錆びた ポップコーン の 屋台 、 剥がれ 落ちた イルミネーション に

  馬 の 首 が 傾いた まま 止まって いる メリーゴーランド 。



  誰 も いない のに 、 まる で 人 の 笑い 声 が まだ 残っている みたい で

  不思議 と 胸 が ざわついた 。






荼毘
  どうだ ?  







  隣 で 燈矢 が 不敵 に 笑う






荼毘
  俺 の デート コース 、  
  悪く ねぇ だろ
あなた
  デート って 言い 方  
  やだ なぁ ~ ..







  思わず 顔 が 熱く なった






荼毘
  ほら  







  不意 に 手首 を 引かれる 。


  ざらついた 指先 が 触れて 、 思わず 体 を 張る 。






荼毘
  観覧車 見に 行こう ぜ  







  観覧車 。


  錆び ついた 鉄骨 が 軋み を 上げ ながら 、

  空 を 突き 刺す よう に そびえて いる 。






あなた
  でか い ね 、  
荼毘
  動く の かな これ  
あなた
  いや こんな 壊れ そう なの  
  乗んない から ね ?  
荼毘
  乗れ たら 良かった のに な  
あなた
  燈矢 って 意外 と 
  ロマンチスト ?   







  思わず 揶揄う と 、 彼 は 鼻 で 笑った 。






荼毘
  俺 には ガラクタ しか  
  詰まって ねぇ よ
あなた
  でも 、 なんか いい ね  
荼毘
  変わってん な  







  彼 は 煙草 を 口 に 咥え 、 火 を つけた 。


  橙 色 の 火 が 一瞬 だけ その 瞳 を 照らす 。




  風 に 流れる 煙 を 見ながら 、 私 は ぽつり と 尋ねた






あなた
  もしさ 、 これが まだ
  動いて たら 頂上 で
  燈矢 だったら 何 してた ?  
荼毘
  ん ~ 、  







  燈矢 は 一拍 置いて わざと らしく 考える 素振り を して から


  ニヤ っと 口角 を 上げた 。






荼毘
  キス でも すん じゃね ?   







  頬 が 一気 に 熱く なる 。


  彼 の 声 は 低く 揶揄う よう で 、

  それで いて 底 に 熱 を 含んで いた 。



  胸 の 鼓動 が 煩い ほど 響き いて 鬱陶しい 。



  私 は 視線 を 逸らす しか なかった 。






荼毘
  どうせ なら 乗り た  
  かった わ
あなた
  まだ 言ってる よ 、  
荼毘
  ま ー な 。  
あなた
  でも 観覧車 って いい よね  
荼毘
  え ?  
あなた
  想像 できる じゃん 。 頂上  
  の 景色 とか 、 風とか さ
  想像 してる 方 が 壊れない







  燈矢 が 立ち 止まる 。



  その 横顔 は 一瞬 、 哀しみ にも 似た 色 を 帯びて いた 。






荼毘
  ほんと お前 変わってる よな  
あなた
  そう かな ?  
荼毘
  普通 だったら 俺 と こんな  
  とこ 来たり しねぇ よ
あなた
  私 は 燈矢 と いる のが  
  普通 なん だよ ?







  彼 の 手 が 、 そっと 私 の 手 を 握った 。



  ざらついた 掌 の 温もり に 涙 が じわ っと 滲む 。






あなた
  だから 燈矢 は 私 の 普通  
  壊さない 為 に ずっと さ
  傍 に いて ね
荼毘
  泣き そう じゃん  







  そう 言って は 私 の 頭 を 優しく 撫でた 。



  その 不器用 な 優しさ に 、 涙 が 零れ そう に なって 俯いた 。
























  来園 して 数時間 が 経ち 、 広場 の 真ん中 に

  ある ベンチ に 座り 込む 。


  木 の 板 は ところ どころ 剥がれて いる けれど 、

  座って みれば 意外 と 落ち 着いた 。






荼毘
  なぁ あなたの下の名前  
あなた
  どうした の ?  
荼毘
  俺 ら 明日 には いない  
  ん だよな 。







  唐突 な 言葉 に 、 胸 が 締め つけ られる 。



  視線 を 逸らす 私 に 燈矢 は 笑った






荼毘
  別 に 湿っぽく しよう
  って わけ じゃ ねぇ 。  
荼毘
  ただ 最後 の 前日に 、 お前  
  と こう してん のが なんか
  おかしくて よ
あなた
  .. おかしい ?  
荼毘
  普通 死ぬ 前日 っつ たら
  もっと いい 場所 とか 行く  
  ばす だろ ?
荼毘
  なのに こうやって ベンチ
  座って まるで 平日 の 恋人  
  みたい だろ








  その 言葉 に 、 どうしよう も なく 涙 が 込み 上げる 。



  必死 に 堪える と 、 燈矢 が 肩 を 抱いて くれた 。






荼毘
  なぁ  
あなた
  なに 、 ?  
荼毘
  泣くな よ 。お前 が 泣くと  
  俺 まで 揺らぎ そう に なる
あなた
  ごめん 、 でも 燈矢 と  
  居る と 泣き たく なる
  くらい 安心 するの ..  







  正直 に 言う と 、 彼 は 驚いた 顔 を して から

  ゆっくり と 笑った 。






荼毘
  安心 、 ねぇ 。 俺 が 与え
  られる もん なんて 炎 と 破壊  
  しか ねぇ と 思ってた けど
あなた
  ちがう .. 私 に とって  
  燈矢 は 全部 だよ 、







  沈黙 が 落ちる 。


  遠く で 風 が 乗り物 を 軋ませる 音 が 響いて 、

  やけに 世界 が 静か に 思えた 。






荼毘
  あなたの下の名前 。  
あなた
  …… 何  
荼毘
  好き だ  







  短く 、 けれど 確か に 言葉 が 落ちた 。


  私 も 小さく 息 を 吸って 答える 。






あなた
  私 も 、 好き  
荼毘
  じゃあ 俺 の 彼女 に なれ よ  
あなた
  うん 、  







  太陽 の 下 で 、 二人 の 影 が 重なった 。


  廃墟 の 遊園地 で 燈矢 と 交わした 約束 と 想い は 、

  壊れた アトラクション より も ずっと

  鮮やか に 私 の 胸 に 焼き 付いて いる 。




  燈矢 と 一緒 に いられる 事 が ただ ただ 幸せ だった 。














 𝐍𝐞𝐱𝐭 ▷▶︎▷ 最後 の 花火

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