第6話

episode5
173
2026/01/07 08:00 更新
門宮一茶
…あ、おはようございます…
黒森愛々菜
…おはようございます、門宮さん
柔らかい笑みだ。昨日のことなんてまるでなかったかのような笑み。
なんだかちょっと、申し訳なさと気まずさが相まって…少し会釈をして、そのまま自分の席に座って強制的に会話を終わらせてしまう。

そのまま隣の席は人に囲まれた。…相変わらず、人気者なんだな、黒森さんって。
モブ
黒森さーん!!ここわからないんだけど教えてくれない…?
黒森愛々菜
いいですよ〜えっと、ここは〜…
モブ
…ああ、そういうこと!?ありがと黒森さん〜さすが才色兼備!!
黒森愛々菜
…ふふ、褒めても、何も出ませんよ?
モブ
黒森さん!!今度はこっちお願いできない?
黒森愛々菜
はいはい、いいですよ〜
門宮一茶
(…大変そう)
…昨日の事を思い出す。

こんな世界を逃げ出してしまいたい、完璧を演じるのがつかれてると言っていた人物と眼の前で笑顔で誰かを支える、才色兼備で完璧という言葉が似合うような人物が本当に同一人物なのかを疑ってしまう。

…けど…
































門宮一茶
(…昨日の黒森さんのあの言葉が…本音なんだろうな)
門宮一茶
(確かに…毎日こんなふうに頼られて、完璧でいることが当たり前って思われたら…)
門宮一茶
…やって、らんないよな…
黒森愛々菜
黒森愛々菜
…はあ

































黒森愛々菜
…やっぱり、嫌だな…
黒森愛々菜
…一人でも、いいか
黒森愛々菜
これ以上いい子で完璧なお嬢様を演じるのは…うんざり





























































































担任
あ、門宮。少しいいか?
門宮一茶
あ、はい…何でしょう
担任
生物室、わかるか?この荷物を置いてきてほしいんだが…
門宮一茶
ああ…わかりました。昨日黒森さんに案内してもらったんで…わかります
担任
そうか、ありがとう…黒森に頼もうと思ったんだが、あいにくどこか行ってるみたいでな…
担任
転校したばっかりなのにいきなり頼んで申し訳ないが、頼んだよ
門宮一茶
了解しました…
よいしょっと先程の授業で使った資料を持ち上げる。そしてそのまま、昨日案内してもらった生物室へと歩いていく。

…昨日、黒森さんは…どんな気持ちで俺のことを案内してくれてたんだろうな。

…しょうがないって?完璧を演じながら、辛いと思いながら…しょうがないと思っていたのだろうか。
門宮一茶
(…なんだか、昨日からずっとそのことばかり気にかかってる)
門宮一茶
(…なんで俺は転校してそうそうこんな悩みを抱えてんだ…?)
もうちょい穏やかに普通に過ぎていくと思っていた学校生活、なのに裏を返してみれば転校初日で人気者にとんでもない秘密を…っていうか本音を明かされてその件でめちゃくちゃ悩まされている。

…改めて文字に起こしてみるとかなりの特殊状況過ぎてちょっと笑えてくるほどだ。
門宮一茶
でもまあ…考えたって無駄、だよな…
俺程度にできることなんてたかが知れてるし…
































言っちゃ悪いが、ほとんど面識のない人と急に駆け落ちのような真似事ができるほど自分は楽観主義ではない。
流されやすくもない。
門宮一茶
(…もうさっさと、昨日のことは忘れよう)
門宮一茶
(他に考えなきゃいけないことはある…悩んでる暇があるんならそっちを考えよう)
ミラン
いや~筆が止まらない、うん
ミラン
それではまた次回、おさらば〜

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