次の日もあの男はやってきて
一本の赤いバラを手に取り差し出してきました。
そんな男にジョングクは、言いました
そう言って、ジョングクは男にしわくちゃになった1タナ札を8枚を男の手に握らせました。
男はしばらく固まりました
そう言うジョングクの顔には、
ススのようなものが付いていました。
彼は一晩中、町中の工場やお店に行って
雑用でもなんでもして返すことを約束に
なんとか1タナ札を8枚かき集めてきたのです。
男はそれをわかっていました。
そしてゆっくりとジョングクに近づくと
指で優しくススを落としました。
そしてメモ帳とペンを取り出して、
しばらく何かを書いて、ジョングクに見せました。
男の目は大きく見開かれました。
学校にもいかず、ずっと働いているのかと
驚いてしまったのです
そして少しの沈黙のあと、
初めて言葉を発しました
男の声は低く深みのある美しい声でした。
ジョングクは言いました
ジョングクは、考えました
「 明日9本花を渡せばいいんじゃないか?
…いや、1本ずつ買っているということは何か
意味があるんじゃないか、
10タナ札ごと返す?
…でも、彼は受け取らないだろうし
まず僕は、お釣りになる1タナ札を
1枚も持っていない
明日以降のお花代をもらわない?
…でも、多く渡してくれた彼は、
優しいから無理にでも渡してくるだろう。
あと、なんとなくだけど
彼はいつしかパタリと
来なくなっちゃいそう
もしかしたら明日も、来ないかもしれないし
明日が最後の日かもしれない、
それなら早く渡したほうがいいかな、
そして、頭の悪い僕が、考えた最善策は
街中をまわってお金を借りること。
まずは、工場の掃除をして1タナ
あと7タナ分は、いろいろなとこで
働いて返すことを約束して、
なんとか、集めることができた。 」
この選択は一見すると効率が悪いじゃないか、
と思う人もいるでしょう。
しかしジョングクが、悩んで悩んで悩んで
悩んだ末に決心したアイデアだったのです。
ジョングクは今日持ってきた中で
一番美しい赤いバラを1本
新聞で綺麗にラッピングしました。
男の目が見開かれました
完成した花を渡すと、男は
深く頭を下げ、小走りに去っていきました。
ねぇ………ぼく、きみのこと………













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。