第20話

ENDあなたの声が聞きたい 星座になれたら(後編)
68
2023/11/18 15:10
後藤 ひとり
…あ、あの…こんにちは
伊地知 虹夏
あ、あれ?喜多ちゃんは?
後藤 ひとり
…えっと、今日学校に来ていないらしくて…
山田 リョウ
ぼっちは、何も聞いてない?
後藤 ひとり
あ、はい…す、すいません…
プルルルルと、スマホが鳴る
後藤 ひとり
…?
電話番号で書かれており、誰かが分からない
伊地知 虹夏
出てみたら?
後藤 ひとり
あっ、はい…
後藤 ひとり
も。もしもし?
佐々木 次子
「後藤だよね?あってる?」
後藤 ひとり
あっ、ささ…佐々木さん…
佐々木 次子
「良かった、実はさ、今日喜多見てない?」
後藤 ひとり
き、喜多ちゃんですか?
佐々木 次子
「そう、喜多、家に帰ってないらしくてさ」
後藤 ひとり
えっ…
佐々木 次子
「後藤も、手伝って、後藤さ、喜多と仲良いじゃん…だから、探そう」
後藤 ひとり
…で、でも…
虹夏ちゃんと、リョウは顔を見合わせる
伊地知 虹夏
大丈夫、私たちも手伝うから
山田 リョウ
そう、私達の郁代を探しに行こう
後藤 ひとり
…わ、分かりました、私も手伝わせてください!
佐々木 次子
「…うん、ありがと、後藤」
プツリと、電話が切れる
スターリーを飛び出し、3人は、別々のところを探しに行く









言葉がないってどんな感じなんだろう











私だって、ちゃんと喋ったことなんて…ない








もし、もしも、言葉がないなら、何で伝えるの?
後藤 ひとり
はぁっ…はぁっ…
息ができない…いろいろ考えて…脳にまで酸素が行かない…




空は暗いが、星なんてない






喜多ちゃんなら。生きてる




そう簡単に諦めるような喜多ちゃんでは無い





私は、足を動かす



ギターが重い、こんなにギター恨んだ日は無い






ギター…?





私は、下ばっかり向いていた





足元に白いギターケースがある
後藤 ひとり
…喜多ちゃん…
驚いたようにこちらを見る喜多ちゃん
喜多 郁代
…〜…〜
その頬にはうっすらと涙の跡がある
後藤 ひとり
…喜多ちゃん
喜多 郁代
私はギターケースから、ギターを取り出す
アンプなんてない…けど







『喜多ちゃんなら分かってくれます』






私は、弦を抑える



そして口ずさむ
後藤 ひとり
もうすぐ時計は  6時 もうそこに一番星
後藤 ひとり
影を 踏んで 夜に紛れたくなる 帰り道


私は喜多ちゃんの顔をまじまじと見ながら歌う





喜多ちゃんの頬には涙が伝う
後藤 ひとり
…いいな 君はみんなから愛されて
後藤 ひとり
いいや 僕は ずっとひとりきりさ
喜多 郁代
…き…みと…あ…って…
小さい、とても小さい声で反応してくれる
私は、喜多ちゃんに、目線で合図を送る


その合図を見て、喜多ちゃんも、ギターを持つ
後藤 ひとり
君と集まって星座になれたら
後藤 ひとり
星降る夜 一瞬の願い事
後藤 ひとり
きらめいて 揺らめいて 震えてるシグナル
喜多 郁代
君と 集まって 星座になれたら
喜多 郁代
空見上げて 指を刺されるような
喜多&ぼっち
繋いだ 線ほどかないで 
喜多&ぼっち
僕がどんなに まぶしくても






本当に一瞬だ




流れ星のように きらりと光って消えてゆく




でもね、きっと


また、夜空いっぱいの星になるから

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