言って「ポッ」と頬を赤らめるあなた。
ああ、なんて可愛いんだ♥️
ん? なぜ僕をにらむんだい友よ?
彼女は僕に寄り添い、そっと手を重ねた。
キミはため息をつき、高価そうなボトルを開けてくれたね。
これだからキミは最高の親友だというんだよ。
ハスカー。
三人で乾杯し、とても楽しい時間を過ごした。
バーも閉まる時間になったので、僕たちは、あなたを彼女のアパートまで送って行った。
まだお酒が残っているのか、あなたは天使のような微笑みに少し赤みを浮かべていた。
彼女が部屋に入るのを見送り、僕たちはホテルへ戻る。
なんなら殺せばいい。
死体を残さずに始末する方法はいくらでもある。
だが、その事は友には内緒だ。
その時だ。
なんだか視線を感じて振り向いた。
………誰かに尾行されている?
僕がラジオスターだと知ってのパパラッチか?
だが、正体を確かめる間もなく、その人物は立ち去った。
……………嫌な予感がする。
翌朝、何だかあなたが心配になり、
ホテル内をうろついていると……ひどく耳障りな金切り声が聞こえた。
人気のない非常階段のところで、ゴルゴナが最愛のあなたに言い掛かりをつけていた。
呪いの言葉を吐き、醜く顔を歪めてゴルゴナは去って行った。
僕はポケットから、キャンディのビンを取り出した。
小さなガラスビンの中に、ラズベリーキャンディがぎっしりつまっていて、口にピンクのリボンがかかっている可愛いギフト菓子だ。
ゴルゴナに悪意を向けられて青ざめていたあなたがようやく顔を緩めた。
僕は微笑んだ。
僕らは抱き合った。
ラジオスターとホテルメイド。
その恋はまだ秘密。
あなたが元気になったのはいいが、あの執念深いゴルゴナのことだ。
また彼女に嫌がらせをするに違いない。
いい加減に思い知らせてやろうと、
ゴルゴナの部屋に向かった時だった。
ゴルゴナの部屋のドアが少し開いていて、隙間から声が漏れていた。
殺人鬼である僕は、気配を消すのが得意だ。そっとドアの隙間から中を覗き込んだ。
室内にはゴルゴナと、何だかロクでもなさそうな感じの男がいた。
!
ゴルゴナの奴、人を雇ってあなたに危害を加えようとしているのか。
全く…………
この僕を………
本気で怒らせたらどうなるのか……
思い知らせてやろう。
続く
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。