___ 日記 ◉月✖︎日 ___
今日、入学式があった。
私が受かった第一志望の梟谷高校は、やっぱり立派だった。
一生懸命に勉強してて、よかったなぁ。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
昼休み、木陰で本を読んでいたら、癖っ毛の男の子が花に水をやっていた。
最初は、昔のことがあって怖かったけど、あの人の微笑んだ顔を見ると、胸が高鳴った。
‥この気持ちは、なんだろう。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
赤葦京治さん。
この前知った、男の子の名前。
教室でこの前見かけた時は、人に気を遣って優しく接してた。
優しいな、って。ひとつ、彼の事を知った。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
梟谷高校に入ってから、およそ一年が経ち、二年生となった。
そして、友達に赤葦さんのことを言うと、それは恋だ、と言われた。
最初はあまりしっくりこなかったけど、なんとなく分かってくるような気がした。
でも、私が赤葦さんに話しかけるなんて、できっこない。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
今日は休日。
この日記を書いたのは、赤葦さんに会いたくなったから。
私の好意に気づいて欲しい、なんて喋ることもできない私には欲張りかな。
でも、この日記を見てくれたら、私の好意に気づくかな、‥って矛盾してるね。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
今、すごく頭が痛い。
今日、ずっとこうだ。
何もなければいいけど‥。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
私、今日倒れたらしい。
意識を失ってて、起きたら病院にいた。
一応って言われて、さっき診察を受けたの。結果は来週らしいけど。
この日記のノートもさっき持ってきてもらって‥、申し訳ないなぁ。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
今日、先週の診察の結果が出た。大丈夫だろう、って。
お医者さんに言われた時は、まだ生きられるんだ!って、安心した。
‥だけど、やっぱり頭は痛い。
でも私がお医者さんに話しても、大丈夫です、の一点張り。
‥‥大丈夫、なんだよね、
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
最近、学校に行くときに目眩がする。
ちょっと怖い。
あーあ、せっかく朝、赤葦さん見れたのにテンション下がっちゃった。
なーんて。‥また今週末、病院にでも行ってみようかな。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
なんか、信じられないや。
私、命に関わる重い病気持ってたんだって。
診察結果を聞きに行ったら,そう言われたの。
それと、三日に一回病院の診察受けて欲しいってさ。
三日に一回だよ?部活あるのに‥本当に、嫌。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
雪を見ながら、もう冬かぁ、って考えてた。
そんな日に、私は堂々と余命宣告をされた。
今日含め、長く見積もってあと十日だって。
急すぎだよ、って心の中で文句言いながら残りは何しよう、って考えてる。
怖いはずなんだけど、意外と落ち着いてる。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
あと八日。
私は決めた。明日から七日間、赤葦さんと居たい。
そして、最後の日に彼に告白をしよう、と。
だから、明日は花壇に向かって、彼に話し掛ける。
‥少しだけ、私のわがまま言いたいな、って、欲張りだなぁ。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
予定通り、赤葦さんに話し掛けた。
あと、仲良くなるために毎日会うための口実も作った。
七日間願いを聞いて欲しい、なんてわがままを赤葦さんは受け入れてくれた。
本当に、優しいな。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
あと六日。
今日も昨日同様、赤葦さんに喋り掛けに行った。
今日の願いは、毎日挨拶し合う、にした。
純粋に、挨拶の話をしていて、挨拶し合える人がいるのはいいな、って思ったから。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
あとたった五日。
今日は、食堂で赤葦さんと、彼の友達の木兎さんと会って、話をした。
友達という関係で結ばれる彼らが、少し羨ましくなったのかも。
私は、友達になって欲しいと言った‥‥___ んだけど、なんか大笑いされた。
理由は分からないままだったけど、赤葦さんがクスクスと笑っているのを見れたから、満足だ。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
あと、死まで日数 残り四日。
残り少ない時間の中で、赤葦さんと連絡先を交換したいと唐突に思った。
だから、赤葦さんに言って、交換してもらった。
彼の顔をまじまじ見ていると、やっぱり顔整ってるな、って。
まじまじ見すぎて、バレちゃったけどね。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
残り、三日。
せっかくなので、昨日交換したメールを使って赤葦さんにお願いを伝えた。
部活があるのを知っていたので、本当にダメ元で、一緒に帰りたい、と。
でも、やっぱり赤葦さんは優しいから、了承してくれた。
私なんかがこんな人を好きになってしまってよかったのかな、って思うくらい。
‥あ、あと、絵を描いてるの見られちゃったかも。
絵を描いてる時に、迎えが来ちゃったから‥。
今、部室の私のバッグに入ってるから多分大丈夫だけど、赤葦さんにバレたら恥ずかしいからね‥。
___ 日記 ◉月✖︎日 ___
残り二日。
やっとの事で少し死を迎えるのが怖くなってきたよ。
‥最近、夜に布団へ潜ると明日は本当に来るのかな、って少し怯えて眠れない。
それを顔に出さないように笑ってたら、違和感があったのか、いいことあった?って聞かれちゃった。
バレちゃいけないのに、分かって欲しい。
そんな矛盾した心が返事を曖昧にした。
そして、今日初めて彼のバレーを見た。
時々見える赤葦さんの悔しそうな表情とか、真剣な表情が新鮮だったなぁ。
私がいなくなるまで、思い出せるように目に焼き付けておこう。
あと、勢いで赤葦さんにキスをしてしまった。
まだ、一緒に居たいって言う思いが募ってしまったのかもしれない。
‥赤葦さん、顔がビックリするくらい赤かった。
少し、期待していていいのかな。
‥‥あ、明日は告白をするんだった。
赤葦さんからしたら死に際の告白とか嫌だろうけどね‥、でも言いたいんだ。
私は貴方を想っていたよ、って。
赤葦さんへ。
今、日記読んでから見てますか?(笑)
まあ、赤葦さんは律儀なので日記みてからこの手紙見てると思いますけどね、
私、専用の看護師さんに「赤葦京治さんが来たら渡して欲しい、」って言ったんです。
赤葦さんにこの日記は渡ってますか、?
渡ってるといいな、
赤葦さん。貴方に伝えたいことがいっぱいあるんです。
まず、ごめんなさい。
日記に書いてあったとおり、私には余命があります。
黙ってたのは、赤葦さん、貴方に心配を掛けたくなかったからです。
あと、私、最後の日に貴方に告白をする、って決めてたんです。
ちゃんとできましたか?
ちゃんと貴方に、「好き」と、伝えることはできましたか?
‥ちゃんと、笑えていましたか?
また来世では、なんてベタですかね、、
いつか、また貴方に会えたら、その時は赤葦さん、貴方に色んな想いを伝えます。
赤葦さん、あなたが好きです。
一年の頃からずっと、好きです。
たくさんたくさん、口で言えたらよかったけど、恥ずかしくて言えませんでした。
それでも、ここで伝えられたからいっか、なんて思っちゃうんです、(笑)
‥でも、やっぱり、言いたかった、なんて矛盾してるって分かってても想っちゃうんです。
もっともっと、赤葦さんの傍にいたかった。
‥なんて、ワガママ、もう通じませんね。
貴方の一言、一言が、私を嬉しくしてくれました。
すごく、貴方といられて楽しかったです。
私の分まで楽しんで、なんて言う資格はないけれど、
私を忘れないで、なんて私は言えないけれど、
赤葦さんの幸せを願うことは許されますよね、
私が貴方を好きになったきっかけは、とても一方的なものだったけど、
私と出会ってくれてありがとうございました、
大好きです。赤葦さん。
紗雪 あなた












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!