わたしのヴィレッジ特別調査団加入が決定した後、団長さんがふいにそんな事を言った。
団長さんがつぶやいた瞬間、扉の向こうからドタバタと駆けてくる足音がした。
駆けてくる足音は、どんどんこちらの方へ向かってくる。
そんな声が聞こえたような気がした刹那。
ピンク色のショートヘアをした、可愛らしい女の子が部屋に飛び込んできた。
ロケットのような速度で突撃してきた女の子をかわすことも出来なかったのか、ルカさんが抱きつかれていた。
話し方的にルカさんの妹さんなのかな?
…仲良しだなあ。
わたしの存在に気付いたのか、今度はわたしに向かって駆け寄ってきた。
「可愛い」なんていつぶりに言われたっけ…?
場は完全に大混乱。
ルカさん、魂の咆哮。
すみません、ツッコミさせちゃって。
たった3分くらいの出来事なのに、もうルカさんはげっそりとしている。
はっ、としたような表情をとる女の子。
そう言うと、女の子…ヒナちゃんは、その場でくるりと回った。
ヒナちゃんが握手してきたので、わたしも手を握った。
…あれ何故か既視感が()
iemonさんがそう言った直後、ヒナちゃんが小首を傾げた。
ルカさんにそこまで言われて、ようやくヒナちゃんは気付いたようだ。
それを聞いて、一瞬、ヒナちゃんの顔が強張った。
心臓の鼓動が、少し早くなる。
…また、なのかな。
他の人と同じように、初めは仲良くしてくれても、わたしが「錬金術師」だって知ったら離れてくのかな…
わたしの予想とは対照的に、放たれたのはとても明るい声だった。
流石にそれは偏見しすぎなような…
わたしが質問攻めに遭う前に、ルカさんがヒナちゃんを制止してくれた。
ルカさんにつまみ上げられたヒナちゃんは、ぷくーっと頬を膨らませている。その様子が面白くて、ついくすくすと笑ってしまった。
その横で、団長がやれやれといった様子でため息をついた。
そして、改めてわたしたち3人に向き合う。
…目の前では、ルカさんが死にかけてて、
団長さんはそれを面白そうにイジっていて、
ヒナちゃんがそれを見て笑ってて。
それは、今までの生活からは想像できないほど、平和で微笑ましくて。
前に進む勇気を、与えてくれる場所だった。




















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。