医「検査の結果は陽性ですね。ご懐妊の場合、出産を希望しますか?」
♡「……」
医「大丈夫ですよ。男性妊娠だなんて今や普通になってきているんですから。何も心配なさらないでください」
♡「……はい」
医「ただ、決めるのはあなた次第ですので、よく考えてみてください。中絶の場合は、1日も早い方がいいですよ」
そして医師は、エコー写真の説明をした
なんだか自分のお腹のなかに本当に子供がいるのだと、急に実感が湧いてきた。
医「この写真、お持ち帰りしますか?」
♡「え、」
持っていっても、どうすればいいのか。
でも、貰っておいた方がいいのか
よく分からなかった。
でも、はい と答えてしまった
どちらの子なんだろうか。
デュースか、ユウか。
微妙に被ってたし、ユウは避妊…してたかな
曖昧な記憶を思い出しながら考える。
なんだか、だんだん怖くなってきてしまった
家に帰ると、ユウが出迎えてくれた
ユ「どこ行ってたのーエースー、ほんとに!バイト先行こうかと思っちゃったよ」
♡「ごめん、ちょっと寄り道してて」
ユ「まーいいよ。今日は俺がご飯作ったから!食べよ?」
♡「あ…うん。」
せっかく作ってくれたのに、食べない訳にもいかず無理やり詰め込んだ。
そして、ユウがお風呂に入っている間に吐いてしまった。
でも、いつもどうりに振舞った。
妊娠している事が、バレないように。
ユ「あのねぇ、エース」
♡「ん?」
ユ「俺明日から3日間くらいかな。会社の方に行かないと行けなくてさ。家にいないけどグリムと2人で大丈夫そ?」
♡「…うん。大丈夫だよ」
ユ「よかった!すぐ戻ってくるから、またおいしいご飯作って?」
♡「うん、まかせて。」
ぎゅっと抱き締められて、俺はふふ、と笑った
ユ「じゃあ、行ってくるね。グリム、ちゃんとエースの言うこと聞いてね。エース、心配になったら何時でも電話かけていていいから。ね?」
♡「うん。ユウも頑張って。グラタン作って待ってるから」
ユ「ありがとう、行ってきます」
笑顔でユウを見送った。ユウも安心したような顔で家を出た
ユウがいなくても変わらない一日を過ごす。
グリムは散歩に行ったまま大体夜までかえってこない。猫の彼女でも出来たのだろうか。
そして俺は、所謂つわりが酷くて一日中寝たきりだった。
何か食べてもすぐもどしてしまう。
そんなこんなで、やっとユウが帰ってくる日。
昨日の夜、電話があったのだ
ユ「もしもし、エース?明日の夜には帰れそう。12時過ぎちゃうかもしれないけど…とにかく帰れるから、グラタン、楽しみにしてるよ!」
と。
つわり対策もして、料理を作り、ユウがいつでも食べれる準備は出来ていた。
でもやっぱり、そんな早くには帰ってこなかった。
だんだん具合の悪さも悪化して、トイレに篭もるようになった。
さっき軽く食べたヨーグルトとリンゴでさえはいてしまう。
辛いけど、ユウには帰ったらちゃんと妊娠したと話そう。そしたら心がずっと楽になる。
口を濯ぎ、寝室に戻ろうとすると
ピンポン
と、チャイムがなった。
ユウだ…
そう思い、玄関へ向かった。
……To be continued












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!