>写真と思い出
港町の小さな宿の前で、未來は今日もカメラを構えていた。
シャッターの音が小さく響く。
ボクの笑顔は、夕陽に照らされてやわらかく見えたけど、心の奥には小さな影が揺れている。
――もし、勇気があったら全部終わらせるのに。
でも、ボクにはその勇気はない。
だから、まだこうして未來と笑っている。
>海辺での午後。
午後、二人はまた海辺に出た。
遠くで子供たちが遊び、波が白く砕けている。
ボクは小さく息を吐く。
心の中では、残る思い出なんていらない、と叫んでいる。
でも目の前の未來の笑顔に、それを言えない。
握った手の温もりが、少しだけボクを支えてくれる。
>夜、宿にて
夜、宿の部屋で二人は窓の外を見つめる。
遠くの港に灯る灯りが、波にゆらゆらと映っている。
ボクはそれ以上、心で思っていることを、上手く言葉に出せない。
――言ったら、全てが変わってしまう気がする。
だから、心の奥にそっとしまったまま。
>終わりに近い朝。
翌朝、港町は夏の光に包まれていた。
二人は海辺に立ち、水平線の向こうの太陽を眺める。
でも、その「いる限り」がどれだけ続くかは、誰にも分からない。
ボクの心の奥にはまだ、影が揺れているから。
To be continued……












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。